こんにちは、平凡な建築学生です。
宅建士、不動産鑑定士、建築士はどれも土地、建物に関わる国家資格です。この三者の違いは何でしょうか?
────────────────────
プロフィール
建築学科の大学生
「学生証だけじゃつまらない、人と違う身分証明書が欲しい」
そんな理由で宅建を取りました。
建築と不動産、法律や土地のことを知る中で、モノの見え方が少し変わった気がします。
このブログでは、建築学生として宅建を学んだ経験や考えたことを、ゆるく発信していきます。
────────────────────
目次
- 🏢 1. 不動産鑑定士とは
- 🏠 2. 宅地建物取引士(宅建士)とは
- ⚖️ 3. 比較まとめ
- 💬 一言でまとめると
- 🧭 結論からいうと
- 🏠 1. 宅建士が値段を決めるとき
- 🏢 2. 不動産鑑定士が値段を決めるとき
- ⚖️ 3. 同じ「価格」でも意味が違う
- 💡 4. 具体例でいうと
- 🏗️ 建築士(一級・二級・木造)
まずは宅建士と不動産鑑定士の違いについて解説していきます。
「不動産鑑定士」と「宅地建物取引士(宅建士)」は、どちらも不動産に関わる国家資格ですが、役割・専門性・関わるタイミングがまったく異なります。
🏢 1. 不動産鑑定士とは
■ 主な役割
👉 不動産の「価値を評価」する専門家。
国や自治体、企業などが土地・建物を売買・交換・課税・補償などに使う際に、その不動産の適正価格(時価)を算出する。
■ 仕事の例
- 国道や公共施設の用地買収時の土地評価
- 相続や離婚で不動産を分けるときの価格算定
- 企業の財務諸表における不動産評価
- 市場調査・不動産投資コンサルティング
■ 独占業務
「不動産鑑定評価書の作成」は不動産鑑定士だけができる。
■ 難易度・試験内容
- 国家資格の中でも最難関レベル。司法試験・公認会計士試験と並ぶ。
- 試験内容:経済学、会計学、民法、不動産鑑定評価論など。
- 合格率:約4〜5%程度。
🏠 2. 宅地建物取引士(宅建士)とは
■ 主な役割
👉 不動産取引(売買・賃貸)における「仲介・取引の専門家」
不動産会社でお客さんと契約する際、重要事項の説明や契約書への記名押印を行う。
■ 仕事の例
- 不動産会社での営業(マンション・土地・賃貸物件の仲介など)
- 建売住宅の販売・管理業務
- 不動産開発・管理会社での契約関連業務
■ 独占業務
- 重要事項説明(宅建業法第35条)
- 契約書への記名押印(宅建業法第37条)
この2つは宅建士しかできない。
■ 難易度・試験内容
- 国家資格の中では中堅レベル。
- 試験内容:宅建業法・民法・建築基準法・税法など。
- 合格率:約15〜17%。
⚖️ 3. 比較まとめ
比較項目 | 不動産鑑定士 | 宅地建物取引士(宅建士) |
---|---|---|
主な目的 | 不動産の「価値を評価」する | 不動産の「取引を安全に進める」 |
活躍場所 | 鑑定事務所、官公庁、企業の資産部門 | 不動産会社、建設会社、管理会社など |
独占業務 | 不動産鑑定評価書の作成 | 重要事項説明・契約書署名 |
試験の難易度 | 非常に高い(合格率4〜5%) | 中程度(合格率15%前後) |
年収の目安 | 約700〜1,000万円(経験により幅あり) | 約400〜600万円(営業力次第) |
専門性 | 法律+経済+会計+評価理論 | 法律+不動産実務 |
💬 一言でまとめると
- 不動産鑑定士:不動産の「価値を決める人」
- 宅建士:不動産の「取引を支える人」
宅建士も価格を決める⁉
- 宅建士も不動産鑑定評価基準に従って価格を決めますが、違いは何でしょう?
🧭 結論からいうと
宅建士が使う「価格」は 実務的・営業的な“相場価格”
不動産鑑定士が出す「価格」は 理論的・公的な“鑑定評価額”
という違いがあります。
🏠 1. 宅建士が値段を決めるとき
宅建士(=不動産会社の営業担当など)は、
実際に市場でいくらで売れそうかを判断して「価格」を設定します。
📌 根拠にするもの
- 周辺の成約事例(実勢価格)
- 需要と供給、人気エリア、駅距離など
- 依頼主(売主)の希望額
- 自社の販売戦略
つまり「不動産鑑定評価基準」そのものに基づくのではなく、
あくまで参考にする程度です。
営業判断や経験に基づく価格設定なので、
「公的に通用する評価書」は作りません。
💬 言い換えると
宅建士が示す価格は
“市場でいくらで売れるか”という 実務的な価格(相場・査定額)
🏢 2. 不動産鑑定士が値段を決めるとき
一方、不動産鑑定士は「不動産鑑定評価基準」に厳密に基づいて価格を求めます。
この基準は、国土交通省が告示する法的・公的な基準です。
📌 鑑定士の評価手法
鑑定士は、目的に応じて3つの手法を組み合わせて評価します:
手法 | 内容 |
---|---|
取引事例比較法 | 周辺の取引事例を基に補正して求める |
原価法 | 再建築費から減価を考慮して求める |
収益還元法 | 将来の収益(賃料など)から現在価値を算出 |
これらを使って「再現性のある理論的な価格」を算出し、
「不動産鑑定評価書」として公的に提出できる形にまとめます。
⚖️ 3. 同じ「価格」でも意味が違う
比較項目 | 宅建士 | 不動産鑑定士 |
---|---|---|
価格の意味 | 実際に売れる市場価格(相場) | 理論・法的に算出した適正価格 |
根拠 | 実勢価格・営業判断 | 鑑定評価基準・評価理論 |
使われる場面 | 売買・賃貸の仲介、査定 | 裁判・税務・公共事業・財務評価 |
価格の法的効力 | なし(目安) | あり(公的効力あり) |
記録物 | 査定書・価格提案書など | 不動産鑑定評価書(法的文書) |
💡 4. 具体例でいうと
たとえば同じ土地を評価する場合:
観点 | 宅建士 | 不動産鑑定士 |
---|---|---|
評価の目的 | 「この土地、いくらなら売れそう?」 | 「この土地の客観的な適正価格はいくら?」 |
出す書類 | 査定書 | 鑑定評価書 |
数値の差 | 市場動向・交渉力で上下する | 評価理論で一意に定まる |
🗣️ まとめ一言
宅建士は「売買のための価格」を出す。
鑑定士は「証明できる価格」を出す。
🏗️ 建築士(一級・二級・木造)
🔧 専門分野:建築設計・構造・施工管理
📌 主な役割:
- 建物の設計、構造計算、工事監理
- 建築確認申請の図面作成・提出
- 建築基準法などに準拠した設計提案
📜 独占業務:
- 建築設計・監理(建築士法)
- 規模や用途により資格(1級・2級など)で制限あり
🎓 試験難易度:
- 一級建築士:高(合格率 約10%)
- 二級建築士:中(合格率 約20%)
💼 活躍先:
- 設計事務所・ゼネコン
- ハウスメーカー・工務店
- 役所の建築指導課など
📊 3者の違いをまとめた表
項目 | 宅建士 | 不動産鑑定士 | 建築士 |
---|---|---|---|
専門分野 | 不動産取引 | 不動産評価 | 建物設計・工事監理 |
主な目的 | 安全な契約 | 適正な価格評価 | 安全な建築物の設計・施工 |
独占業務 | 契約時の説明・記名押印 | 鑑定評価書の作成 | 設計・監理(法令による制限あり) |
試験難易度 | 中(15%前後) | 高(4~5%) | 一級=高、二級=中 |
主な就職先 | 不動産会社 | 鑑定事務所・官公庁 | 設計事務所・ゼネコン |
価格に関与? | 売買価格の「査定」 | 評価額を「理論的に算出」 | 原価法で使う「再建築価格」の算定根拠になる |
建物に関与? | 間接的(取引対象として) | 間接的(評価対象として) | 直接的(設計・建設) |
🎯 かんたんに言うと…
資格名 | ひとことで言うと |
---|---|
宅建士 | 「契約のプロ」 |
不動産鑑定士 | 「価格のプロ」 |
建築士 | 「建物のプロ」 |
🧩 どう関わり合ってる?
これら3者はよく連携します:
- 建築士が設計した建物を
→ 宅建士が販売・賃貸し、
→ 不動産鑑定士が評価する。
つまり、不動産のライフサイクルにおいて
「設計 → 取引 → 評価」を担うそれぞれのプロフェッショナルです。
コメント