【東京再開発マップ ⑤】浜松町・田町

都市・再開発

― 羽田への玄関口。駅とビルが一体で建て替わる10年

建設中 計画中 竣工済

第5回は浜松町・田町。④の虎ノ門・六本木が「山手側の高台」だとすれば、こちらは海側の低地、いわゆる東京サウスゲートの入口にあたります。

このエリアの特徴は、駅そのものが再開発の一部になっていること。世界貿易センタービルの建替えにはモノレール駅舎の建替えが含まれ、田町では新改札の設置が検討されている。羽田空港アクセス線という新しい交通軸を前提に、駅・ビル・デッキが一体で組み替えられています。


① 浜松町二丁目4地区A街区(世界貿易センタービルディング本館)

敷地面積 約15,727㎡/2027年3月完了予定

1970年竣工の世界貿易センタービルの建替えです。A棟は地上46階・地下3階、高さGL+235.522m、敷地面積15,726.55㎡、延べ面積300,722.40㎡で、用途は事務所・ホテル・店舗・駐車場・地域冷暖房等。着工は2017年9月、完了予定は2027年3月です。あわせてTM棟(駅舎・店舗・駐車場、地上5階・高さ32.534m)が2025年1月に着工し、2029年12月の完了を予定。建築主は世界貿易センタービルディング、鹿島建設、東京モノレール、東日本旅客鉄道で、設計・施工はA棟が鹿島建設です。 View

モノレール浜松町駅の新駅舎は2026年6月13日より一部使用が始まっています。 Cocolog-nifty

かつての展望台は建替準備のため2021年1月31日で営業終了、浜松町バスターミナルも2020年9月30日で営業を終えており、新バスターミナルの竣工は2027年12月が見込まれています。 TOKYO BEST OFFICE

約10年かけて、駅と超高層とバスターミナルを止めずに入れ替える。①丸の内で見た「連鎖型」の考え方が、ここでは交通結節点そのものに適用されています。

② 浜松町二丁目地区第一種市街地再開発事業

敷地面積 約5,889㎡/全体竣工 2027年5月

①のすぐ西隣、通称・浜松町二丁目C地区です。WORLD TOWER RESIDENCEは世界貿易センタービルディング、鹿島建設、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、東京建物の5社が分譲した地上46階・地下2階、高さ181.04m(最高185.49m)、総戸数389戸のタワーマンションで、2024年11月に竣工。3階にエントランス、13階に共用施設、14〜46階に住宅を配置しています。2025年3月より入居を開始し、港区立みなと芸術センター・商業施設等を含む全体竣工は2027年5月を目指しています。 Skyskysky

分譲マンションや公共施設(文化芸術ホール)、店舗等が整備される計画で、住宅は入居済み、残る公共施設や店舗は2027年度の完了予定。隣接するA街区と一体的に進み、全体の竣工は2029年度頃まで段階的に続く見込みです。 LIFULL HOME’S

経緯を追うと、2012年11月の準備組合設立から2017年1月の都市計画決定、2018年11月の組合設立認可、2021年3月着工、2024年11月の第一期竣工と、住宅入居まで13年かかっています。 Yahoo! Japan

タワーマンションの足元に区立の芸術ホールが入るという構成は、公共施設を再開発の床で確保する典型的なやり方です。区にとっては用地取得なしにホールが手に入り、事業者にとっては容積の根拠になる。学生の課題でも「公共施設をどう組み込むか」を考えるときの参考になります。

③ BLUE FRONT SHIBAURA

区域面積 約4.7ha/延床 約55万㎡/TOWER N 2030年度竣工予定

旧・東芝本社ビルの建替えです。浜松町ビルディング(東芝ビルディング:港区芝浦1-1-1)の建替事業として高さ約230mのツインタワーを建設。TOWER Sは2025年2月竣工済、TOWER Nは2030年度竣工予定で、区域面積約4.7ha、延床面積約55万㎡、オフィス・ホテル・商業店舗・住宅を含む約10年間に及ぶ大規模複合開発です。ベイエリアと東京都心部の結節点「”つなぐ”まち」の創出を目指し、エリアマネジメント活動と舟運ネットワークの拡大にも取り組むとしています。 Nomura-re

TOWER Sは地上43階・地下3階、高さ228.88m。2025年2月28日竣工、7月1日にホテル「フェアモント東京」がオープンし、8月にオフィス入居開始、9月1日に商業エリアがグランドオープンして全体開業しました。TOWER Nは地上45階・地下3階、高さ227.28mで、オフィス・商業施設・住宅からなり、2027年度着工・2030年度竣工予定。設計は槇総合計画事務所、清水建設、アラップ、日建設計で、TOWER Sの施工は清水建設です。 Skyskysky

TOWER S高層階にはラグジュアリーホテル「フェアモント東京」が日本初上陸。中層階は”TOKYO WORKation”をテーマに、1フロア約1,500坪に自然環境を活かした共用部を設けたオフィスフロアとなっています。 Nomura-re

設計者に槇文彦事務所が入っている点が個人的には興味深いところです。運河沿いという条件をどう建築に翻訳するか——低層部のGreen Walkと水辺の関係は、実際に歩いて見る価値があります。

④ (仮称)三田三丁目プロジェクト

敷地面積 約11,300㎡/2031年度竣工予定

森トラストが計画する複合施設で、三田三丁目の敷地約11,300㎡に延べ約13万㎡、高さ約180m。2027年10月頃に新築工事に着手し、2031年度の完成を目指します。低層部を店舗、中層部を事務所、高層部を住宅とし、約275台の駐車場も整備。建物は国道15号からセットバックして配置し、快適で歩きやすい環境を形成するとともに、計画地内外を結ぶ緑地ネットワークと、視認性が高く開放的で緑豊かな広場を配置します。敷地は北西側で国道15号、東側で都道409号、南東側でJR山手線などの線路に接し、現在は三田3丁目MTビル、三田43MTビル、三田MTビルの3棟を解体して新築に移行する見込みです。 Kensetsunews

第一京浜を挟んだ向かい側には地上43階・高さ179.30mの「住友不動産東京三田サウスタワー」があり、ほぼ同じ高さのビルが並ぶことになります。 Skyskysky

1970〜80年代に建てた自社ビル3棟を一体で建て替えるという点は、④で触れた森ビルの虎ノ門ナンバービル群と同じ構図です。デベロッパーの第一世代ストックが、いま一斉に更新期を迎えています。

⑤⑥⑦ 完成したピース

三田三・四丁目地区第一種市街地再開発事業は田町・三田駅寄りの再開発で(白金高輪寄りの三田五丁目西地区とは別案件)、超高層棟の規模だけでなく、公園、広場、歩行者通路、斜面緑地を通じて高低差のある街を歩きやすくする点に価値があります。工事完了時期は東京都資料で令和8年3月(2026年3月)予定、港区資料で令和7年度とされています。 Ina-gr

この事業は泉岳寺、高輪ゲートウェイ、三田五丁目西、芝浦方面の都市更新と合わせ、東京サウスゲートの一部として捉える必要があります。泉岳寺駅地区第二種市街地再開発や高輪ゲートウェイ周辺の整備により田町から高輪方面の流れは変化しており、三田三・四丁目はその中間に位置する接点です。 Ina-gr

田町駅前では「ミタマチテラス(田町駅前建替プロジェクト)」が2025年8月に竣工。三田駅から地下連絡通路でつながり、1階に店舗・防災センター・子育て支援施設が入り、敷地内にはアーバンポケット(公開空地)が設けられています。 Livex-inc

駅の改良も動いています。2024年12月の説明会では、田町駅に新改札が設けられ、三田側への新通路も整備されることが明らかになりました。 Note


まとめ:浜松町・田町の10年後

事業規模完成時期
世界貿易センタービル本館(A街区)約15,727㎡/235m2027年3月(モノレール駅舎は2029年度)
浜松町二丁目地区(WTR)約5,889㎡/185m2027年5月
BLUE FRONT SHIBAURA約4.7ha/230m×2TOWER N 2030年度
(仮称)三田三丁目プロジェクト約11,300㎡/180m2031年度

このエリアには、①〜④のような象徴的な一発がありません。330mも385mもない。代わりにあるのは、185m〜235mのビルが駅を挟んで5〜6棟並ぶという、均質な高層帯です。

その理由は明快で、ここが目的地ではなく通過点だから。羽田空港アクセス線、モノレール、山手線、BRT、そして舟運。浜松町・田町の再開発は結局のところ「乗り換えをどう快適にするか」に収斂しており、だからこそ駅舎とデッキと地下通路の話が事業の中心に来ます。

2027年に世界貿易センタービルが完成し、2030年にBLUE FRONT SHIBAURAのN棟が立ち上がると、東京湾から見た芝浦の輪郭はかなり変わります。ただ、街として面白くなるかどうかは、その足元の水辺と広場がどれだけ人に開かれるかにかかっていると思います。

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