北九州市の人口が減り続ける理由は、ひとことで言うと 「生まれる人が減って亡くなる人が増える(自然減)+ 若い世代が市外へ出やすい(社会減)+ その背景に“都市のつくり”と“仕事の変化”がある」 からです。北九州市自身も「人口減少・高齢化・産業構造の変化」に早くから直面している、と整理しています。
1) まず押さえる:北九州市の人口減は「長期トレンド」
北九州市は合併後に人口が増え、1979年ごろにピークを迎えた後、長期的に減少してきました。近年も 毎年5,000人以上の減少が続く、という市の整理があります。
(最新の人口動向は市が毎月の推計人口として公表しています。 )
2) 人口が減る“直接のメカニズム”は2つ
A. 自然減(出生<死亡)
北九州市は、出生数が長期的に下がる一方で、高齢化を背景に死亡数が増えやすい構造になっています。たとえば市資料では、出生数の減少と死亡数の増加が明確に示されています。
→ これだけでも人口は減ります。
B. 社会減(転出>転入)
もう一つが、進学・就職・転勤などでの若年層の流出。市の総合戦略でも、若者の定着(就職先・働き方・誇り/住みたいと思えるまち等)が重要テーマとして扱われています。
→ 自然減に「若い人が出ていく」が上乗せされると、減少が止まりにくくなります。
3) では“なぜ”自然減・社会減が起きやすいのか(背景)
背景① 産業構造の変化:重厚長大からの転換と雇用のミスマッチ
北九州は製鉄などの「ものづくり」の街として発展しました(八幡の産業遺産が象徴)。一方で、市は産業構造の変化を大きな課題として挙げています。
- 仕事が“ある/ない”だけでなく、若者が求める職種・賃金・働き方と、地域の雇用構造が噛み合わないと、転出が増えやすい
- 結果として、就職・キャリア形成のタイミングで福岡都市圏などへ動く動機が強くなる
背景② 都市が広がり型:生活コストが上がり、中心が弱りやすい
北九州市は5市合併の歴史もあり、都市が多核(複数の中心)で、住宅地も広範囲に広がっています。人口が減る局面ではこの形が不利になりがちです。
- 人口密度が下がると、路線バスの維持、商店・病院・学校の維持が難しくなる
- 生活利便が落ちると、さらに住み替え・転出が起きる(負のループ)
だからこそ市は、人口減少・高齢化を背景に 「コンパクトなまちづくり」(居住と都市機能を一定の区域へ誘導)を進める必要がある、として 立地適正化計画を策定・改定しています。
背景③ 建築ストック(建物の“持ち方”問題):空き家・老朽化・更新負担
人口が減ると、住宅・店舗・オフィスが余りやすくなり、
- 空き家・空き店舗が増える
- 老朽建物の更新が進まず、街の魅力が落ちる
- 需要が弱い場所ほど建替え投資が成立しにくい
という“ストック型の衰退”が起きます。これが中心市街地の弱体化や、郊外のスポンジ化(低密度化)を加速させやすいです。
(市も人口減少局面での都市経営を重視し、都市機能の誘導や公共交通などを計画に組み込んでいます。 )
4) 都市計画・建築の視点でみた「止まりにくいループ」
分かりやすく因果で書くと、こうです。
- 自然減が進む(出生減+高齢化)
- 人が減って密度が下がる
- 商店・医療・公共交通が維持しにくくなる(生活が不便に)
- 若い世代ほど「便利・仕事・住まい」を求めて転出(社会減)
- 空き家・空き店舗が増え、街の魅力がさらに落ちる
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このループを断ち切るために、市は 居住と都市機能を集約する“誘導”(立地適正化計画)を使い、持続可能な都市経営に寄せようとしています。
参考文献
- 北九州市「推計人口及び推計人口異動状況」
- 北九州市「第2期 北九州市まち・ひと・しごと創生 総合戦略(PDF)」
- 北九州市「人口の状況について(PDF)」
- 北九州市「北九州市立地適正化計画について(令和6年3月改定)」
- 北九州市「北九州市立地適正化計画【概要版】(PDF)」

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