何が「工期未定」になったの?
ニュースで「新宿駅西口再開発が工期未定」と言われている主役は、京王電鉄が関わる“新宿駅西南口地区開発計画”のうち、南街区(甲州街道をはさんで渋谷区側)です。
京王電鉄が、南街区の工期(もともと“2028年まで”としていた部分)を「未定」に変更しました。理由として、新築工事にまだ着工できておらず、計画を見直す必要があるという趣旨が示されています。
ここがポイントで、同じ「新宿駅周辺の巨大再開発」でも
- 京王(西南口地区:南街区など)=工期が未定になった話
- 小田急・東京メトロ・東急不動産(西口地区:旧小田急百貨店跡地)=別の計画で、2029年度完成予定などが示されている話
…と、計画が複数並走しています。混ざりやすいので、ここを分けて理解すると一気にわかりやすくなります。
「新宿駅西口再開発」って、そもそも何のこと?
新宿駅は世界最大級のターミナルで、駅前広場・歩行者動線・デッキ・地下通路・駅ビル群が、時代ごとに“継ぎ足し”で巨大化してきました。
そこで東京都などが掲げる大きな方向性が、駅とまちをまとめて組み替える 「新宿グランドターミナル」 的な考え方です(歩行者ネットワーク強化、駅前空間の再編など)。
その中で、西口〜南口周辺では大きく分けて 2つの再開発が同時進行しています。
A. 西口地区開発計画(旧小田急百貨店跡地など)
- 事業主体:小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産など
- 東京都の工事情報ページでは、2029年度に(地下5階・地上48階・最高高さ260m)完成予定などが示されています。
- 小田急側からも、FY2029完成予定という資料が出ています。
B. 西南口地区開発計画(京王が関わる、京王百貨店周辺+甲州街道南側など)
- 北街区/南街区に分かれる(特に今回のニュースは“南街区”)
- 南街区の工期が「未定」になった(今回の話)
工期未定になった「南街区」ってどんな計画?
Impress Watchの報道(京王の発表をもとにした記事)では、南街区は例えば以下のように説明されています。
- 規模:地上37階・高さ約225m/地下6階
- 用途:店舗・事務所・宿泊施設・駐車場などを集約
- 敷地・延床:敷地約6,300㎡、延床約150,000㎡
つまり「駅前の一等地に、超高層複合ビルを建てる」タイプの計画で、街の更新エンジンとしては強力です。
一方で、超高層×駅前×地下階が深い=難易度がとても高いのも事実です。
なぜ「未定」になったの?(初心者向けに噛み砕く)
京王の説明として記事に出ている直接理由は、かなり端的に言うとこれです。
- 本来は2023年度着工予定だった
- でも 現時点でも新築工事に着工できていない
- だから 工期を見直し、「未定」とした
ここから先(“なぜ着工できていないのか”)は、個別案件で複合要因になりがちですが、一般にこの手の駅前再開発で詰まりやすい論点を、誤解が少ない範囲で整理するとこうなります。
1) 工事費が読みにくい(=発注してもゼネコンが確約しづらい)
超高層・地下深い・交通結節点ど真ん中は、もともと工事が難しく、条件変更も多いです。
さらに近年は資材・人件費・調達制約の影響で、当初想定の工事費で契約できない/契約条件がまとまらないが起きやすい、という文脈が語られることがあります(週刊誌系の記事ですが、同種の“決まらない再開発”という現象として言及)。
※ここは一般論寄りで、京王が公式に「工事費が原因」と断言した、という形ではこのソースではありません。
2) 駅前は「地下」が主戦場(インフラ調整が重い)
駅前の再開発は、地上のビルだけでなく、
地下通路、鉄道施設、既存の基礎・躯体、上下水・電力・通信、バリアフリー動線などが絡みます。
「壊す→建てる」ではなく、「動かしながら組み替える」になりがちで、工程が不確実になります。
3) 関係者が多い(権利・運営・動線の合意形成が長い)
ターミナル直結は、鉄道会社・行政・地権者・商業運営・周辺ビルなど、利害関係者が多く、
“図面が固まらない”=発注できない も起きます。
街に起きている変化
ニュースでよく映るのが「解体が進んで広い空が見える」「駅前に空き地がある」という絵です。
これは実際に旧小田急百貨店本館の解体などが進んで景色が変わったことでも話題になりました。
この“空き地化”は、都市の見え方としてインパクトが強い反面、
- 工事が予定通り進むなら「次のステージへの助走」
- 止まる/遅れると「一等地の穴が長期化」
という 評価が真逆になります。
工期未定で困ること
1) 動線が「仮設のまま」長引く
駅前は仮囲い・仮設通路・迂回が発生しがち。これが長期化すると、
歩きにくい/迷う/バリアフリー動線が読みにくいが続きます。
2) 周辺の店・オフィスの意思決定が鈍る
工期が見えないと、
出店判断、更新投資、テナントの移転計画が立ちづらく、周辺の新陳代謝が停滞しやすいです。
3) 「新宿全体の再開発」の絵が読みにくくなる
新宿は西口地区(小田急側)など別の計画も進むため、片方が遅れると、
デッキや広場など“接続部分”の完成像がズレる可能性が出ます(駅前は特に“つながって初めて便利”なので)。
ここから先、何をチェックすればいい?
- 京王が「南街区」の新しい工程目標を出すか(“未定”がいつ“○年予定”に戻るか)
- 西口地区(旧小田急百貨店跡地側)は、東京都や事業者の示す2029年度完成などの目標線に沿って進むか
- 駅前広場・デッキ・地下通路など、歩行者ネットワーク整備の見える化(完成ビルより生活実感に直結)
参考文献(一次情報・報道中心)
- 京王電鉄、新宿西口再開発の工期が未定に(Impress Watch, 2025/3/28)
- 東京都(工事情報)新宿駅西口地区開発計画:計画概要・工事スケジュール等
- 小田急電鉄「Shinjuku West Gate Development Project」工事開始等に関する資料(英語PDF、FY2029完成予定の記載)
- 東急不動産HD:Shinjuku West Gate Development Project 関連(参加等の資料・事業概要)
- (背景理解)中野サンプラザ白紙化、新宿駅前も未定に…(SPA! / excite掲載)

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