東京が地方を殺すー東京圏再開発が地方に及ぼす影響

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結論から言うと、**「東京圏の再開発が地方の人手・施工能力を吸い上げ、その結果として地方の建設費高騰や入札不調・計画見直しを増やしている」**という見立ては、かなり筋が通っています。
ただし“東京だけが原因”ではなく、**全国的な供給制約(人手不足+働き方改革+資材・設備の逼迫)**の上に、東京圏の大型案件が「一番高い単価で」「長期間」施工能力を確保しにいくため、地方が相対的に不利になりやすい、という構図です。


なぜ東京圏の再開発が“地方に効いてしまう”のか(メカニズム)

1) 施工能力(職人・協力会社・設備)が「市場」で奪い合いになる

建設は需要が急増しても、短期で供給(技能者・現場監督・設備サブコン・工場生産能力)が増えにくい産業です。
その中で東京圏の再開発は、規模が大きく工期も長いので、**元請・サブコンが“優先的に人と機械を押さえる”**動きが起きやすい。結果、地方は「そもそも応札者が集まらない」「下請けが確保できない」になりやすいです。

2) 労務費の上昇が“全国波及”する

公共工事の設計労務単価が13年連続で上昇し、直近も全国平均で上昇が続いています(賃上げ圧力+人手不足の反映)。
東京圏で高い単価が出る→人が動く→地方も単価を上げないと確保できない、という形で地方のコストにも跳ね返る

3) 2024年からの時間外労働の上限規制で「同じ人数でも回せる工事量」が減る

建設業でも、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、従来の長時間労働前提の“帳尻合わせ”が効きにくくなりました。
これは実質的に、供給側の上限(施工できる量)を締めるので、需要が強い局面ほど価格が上がりやすいです。


影響を受けていると考えられる事業例

ここでは「人手不足・建設費高騰」が明確に表に出ている事業を、地方中心に挙げます(※画像はイメージ/計画図)。

A) 名鉄・名古屋駅地区再開発(中京圏)

  • 入札の段階で施工業者が人手不足を理由に辞退し、スケジュールが未定に。
  • 建設工事費も当初見積りから2倍近くに膨らんだという報道。
    → “都市圏の巨大案件ですら”施工確保が難しい=地方はさらに条件が厳しくなりがち、という象徴例です。

B) 仙台駅前・旧さくら野百貨店跡地(地方中枢都市)

  • 再開発断念・停滞の背景に「建築費の高騰」。
  • 2020→2025で建築コストが平均3割程度上昇との指摘も報道されています。
    → 収益力が東京ほど強くない市場では、コスト上昇がそのまま事業成立性を直撃します。

C) 熊本市 新庁舎(地方の大型公共事業)

  • 概算工事費が880億円超見込み、従来想定から膨らむという報道。
    → 公共は「やめる」より「見直し・先送り」になりやすく、結果として財政・まちづくりの時間軸に影響が出ます。

D) 静岡市 JR東静岡駅北口 アリーナ(地方の集客・拠点整備)

  • 事業費が大きく、議会でも費用や寄付の集め方が論点化。報道ベースで事業費「約300億円」規模。
  • 市の資料でも、物価上昇に伴う建設費変動リスクの扱い(負担の考え方)が整理されています。
    → 地方アリーナは“地域の起爆剤”として期待される一方、コスト上振れが起きると合意形成が急に難しくなるタイプの事業です。

「地方に人手が回らない」はどこまで本当か

  • 現場感としては起きやすい:地方自治体が“下請け確保が難しく入札が成立しない”と明記している例もあります。
  • ただし原因は複合的:東京圏の需要だけでなく、
    • 全国的な賃上げ圧力(労務単価上昇)
    • 働き方改革による供給制約
    • 設備工事(サブコン)や専門工の逼迫
      が重なって、“どこでも足りない”状態で、より条件の良い市場(大都市・大型案件)へ流れやすい、というのが実態に近いです。

まとめ

東京圏の再開発集中は、地方に対して

  • ①施工市場の競争激化(人・サブコン・資機材の奪い合い)
  • ②コスト上昇の全国波及(労務単価・間接費の上振れ)
  • ③地方プロジェクトの“成立性”低下(採算・入札・合意形成)
    という3段階で効きやすい。
    だから地方では「やりたいこと」より先に、“発注できる形に落とす(規模・仕様・工期・調達方式)”がボトルネックになりやすい、という悪影響が起きます。

参考文献(一次情報・報道中心)

  • 国土交通省「令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価(報道発表/資料)」
  • 国土交通省(国土交通白書相当ページ)建設業の時間外労働上限規制(2024年4月適用)
  • 名古屋テレビ:名鉄の名古屋駅再開発、入札辞退・建設費高騰で大幅遅れ(2025/12)
  • TBS NEWS DIG(東北放送):旧さくら野再開発断念、建築費高騰など(2025/11)
  • TBS NEWS DIG(熊本放送):熊本市新庁舎 概算工事費が880億円超見込み(2026/1)
  • 熊本市:新庁舎整備に関する基本構想(2024/8)
  • 静岡市:アリーナ整備・運営事業(実施方針案Q&A等、物価変動リスクの考え方)
  • アットエス:静岡市アリーナ事業費等に関する報道(2025/11)
  • LIFULL HOME’S(解説記事):建設費高騰と人手不足で再開発見直しが相次ぐ旨の整理

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