以下では、青森市のコンパクトシティ政策が「なぜ期待どおりに機能しなかったのか」を、背景 → 施策内容 → 失敗と評価される理由 → 教訓の順で解説します。
1. そもそも「コンパクトシティ」とは?
人口減少・高齢化が進む中で、
- 生活機能(住宅・商業・医療・行政)を中心部に集約
- 公共交通で移動できる都市構造をつくる
ことで、行政コストを抑えつつ暮らしやすさを維持しようとする考え方です。
青森市は、
- 豪雪
- 急速な人口減少
- 車依存の郊外化
という課題を背景に、全国でもかなり早い段階でこの政策に本格着手しました。
2. 青森市が進めたコンパクトシティ政策の中身
(1)「インナー・ミッド・アウター」の3層構造
- インナー:青森駅周辺(最優先で集約)
- ミッド:既成市街地
- アウター:郊外・山間部(人口誘導を抑制)
(2)中心市街地への投資
- 青森駅前再開発
- 公共施設・文化施設の集約
- 歩行者空間・冬期対策(アーケード等)
(3)郊外開発の抑制
- 用途規制
- インフラ投資の優先順位付け


3. それでも「失敗」と言われる理由
理由①:人口が中心部に戻らなかった
- 青森市の人口は一貫して減少
- 特に中心部では
- 商業回復が限定的
- 居住人口が増えない
- 「集約したが、人は来ない」状態
👉 都市構造を変えても、人口動態そのものは変えられなかった
理由②:車社会と雪国構造のミスマッチ
青森市では、
- 1世帯1~2台の自家用車が当たり前
- 冬は
- 徒歩・自転車が厳しい
- バス待ちが過酷
結果として
「中心部に住むメリット < 郊外で車生活」
になってしまいました。


理由③:公共交通が“主役”になりきれなかった
- バスはあるが
- 本数
- 速達性
- 分かりやすさ
が十分でない
- LRTなど都市構造を変える交通投資は未実現
👉 「公共交通で暮らせる」実感が市民に生まれなかった
理由④:郊外に生活機能が残り続けた
- 大型商業施設
- 医療機関
- ロードサイド店舗
が郊外に点在したまま
その結果、
- 中心部を「通過するだけ」
- 用事は郊外で完結


理由⑤:「集約=正解」という発想の限界
青森市の事例は、
- 行政的には理論的
- しかし
- 住民の生活実感
- 働く場所
- 車依存文化
とのズレが大きかった。
👉
「都市を縮める」ことはできても、
「人の暮らし方」は簡単には変わらない
4. なぜ“先進事例”から“反省事例”になったのか
青森市は
- 国のモデル都市
- 教科書的事例
として注目されましたが、
| 観点 | 結果 |
|---|---|
| 人口集約 | ❌ 実現せず |
| 中心市街地活性化 | △ 限定的 |
| 行政コスト削減 | △ 効果不透明 |
| 市民満足度 | △ 賛否 |
となり、「理論先行型コンパクトシティ」の限界を示す都市として語られるようになりました。
5. 青森市の失敗から学べる教訓
これは「青森市が悪かった」という話ではありません。
教訓①
👉 コンパクトシティは「交通改革」が主役
教訓②
👉 雪国・車社会では別解が必要
教訓③
👉 集約より「多極+連結」という考え方
現在は
- 多拠点型
- 機能分散+公共交通連結
という方向へ、全国的に考え方が進化しています。
6. まとめ(ひとことで)
青森市のコンパクトシティは、
都市計画としては正しく、
生活としては追いつかなかった。
参考文献・資料
- 青森市『青森市都市計画マスタープラン』
- 青森市『コンパクトシティあおもりの取り組み』
- 国土交通省「コンパクトシティ政策に関する検証資料」
- 服部圭郎ほか『コンパクトシティの実像と課題』(学芸出版社)
- 日本都市計画学会 論文・特集号(地方都市の集約政策)

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