― 建築・都市計画・不動産から読む未来評価 ―
1. まず前提:似ているようで、出発点はかなり違う
汐留(2000年代型再開発)



- 国鉄貨物駅跡地の巨大更地
- オフィス主導
- スーパーブロック開発
- 「ビルを作れば都市になる」思想
結果:平日昼は満員、休日は空洞
高輪ゲートウェイシティ(2020年代型再開発)



- JR東日本の経営戦略型開発
- 駅と一体の都市運営
- 住宅・文化・MICE複合
- 「都市を経営する」思想
つまり
汐留=開発プロジェクト
高輪=運営プロジェクト
ここが最大の分岐点。
2. 都市計画の比較:孤立都市か、接続都市か
汐留の構造:分離型都市



特徴
- 地上:車
- デッキ:歩行者
- 地下:移動通路
これは1990年代の理想都市だった
しかし現代では致命的弱点になる
理由
→ 滞在が発生しない
人の行動
- A地点 → B地点へ直行
- 寄り道しない
- 偶然が起きない
都市は
「用事の無い人」が多いほど強い
汐留は逆だった。
高輪の構造:接続都市(予定)



4
計画の核心は
通過点ではなく結節点
強み
- 品川と田町の間の“空白”を埋める
- 泉岳寺と接続
- 周辺住宅地と隣接
つまり
都市を内側に閉じない設計が可能
ただしリスク
駅直結導線を強くし過ぎると
通過専用都市=汐留化
3. 建築の比較:巨大建築は街を壊すのか
汐留:内部完結型建築



問題点
- 店舗がビル内部
- 外に店が出ない
- 街路が死ぬ
建築単体は美しい
だが都市は弱体化
建築の完成度が都市の失敗を生んだ
高輪:都市を作れる建築になるか



評価ポイントは超高層ではない
低層部
チェックすべき点
- 路面店の連続性
- 建物の抜け
- 座れる場所
- 夜の光環境
ここが弱ければ
どれだけ意匠が良くても汐留になる。
高輪ゲートウェイシティーは店が外部に染み出すような設計
ただしテナントが高級志向のため客層を選ぶ。
4. 不動産の比較:収益モデルが都市を決める
汐留:オフィス最大化モデル
- 平日昼に最適化
- 夜と休日が不要
- テナント固定化
- 商業が更新しない
結果
都市の寿命が短い
高輪:エリアマネジメント型モデル
- 鉄道利用を増やすことが収益
- 滞在時間が利益
- イベントが利益
- 回遊が利益
つまり
不動産ではなく「体験」を売る都市
ここが成功すれば
汐留とは全く違う結果になる
5. 共通点と相違点まとめ
| 観点 | 汐留 | 高輪 |
|---|---|---|
| 開発思想 | 建設 | 運営 |
| 動線 | 分離 | 接続 |
| 建築 | 内部完結 | 外部重視(予定) |
| 収益 | 賃料 | 滞在価値 |
| 夜間 | 空洞 | 作れる余地あり |
| リスク | 孤立 | 通過点化 |
6. 最終評価
高輪ゲートウェイシティの将来
成功条件
- 地上の街路が主役
- 夜の目的地が残る
- 小規模店舗が更新
- 周辺へ歩ける
失敗条件
- 駅直結のみ強化
- 内部モール依存
- 大区画テナント固定
- 平日依存
結論
汐留になる可能性はあるが、運営次第で回避できる最初の再開発
汐留は
「設計された都市」
高輪は
「育てる都市」
この違いが結果を分ける。
汐留についての記事はこちら
参考文献・資料
公的資料
- 東日本旅客鉄道株式会社「品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)概要」
- 国土交通省 都市局「都市再生特別措置法と大規模都市開発」
- 港区「高輪地区まちづくりガイドライン」
- 東京都都市整備局「都心部における土地利用転換と都市構造」
学術研究
- 日本都市計画学会「大規模複合開発における歩行者回遊性の研究」
- 日本建築学会計画系論文集「ペデストリアンデッキと地上街路の利用特性比較」
- 東京大学都市工学専攻 都市デザイン研究室「都心再開発地区の都市活動密度比較研究」
不動産・市場レポート
- 三鬼商事「東京都心5区オフィス市場レポート」
- 森ビル「東京の都市特性評価レポート」
- CBRE Research「Tokyo Real Estate Market Outlook」
書籍
- 隈研吾『負ける建築』
- 五十嵐太郎『都市は消えるか』
- 吉見俊哉『都市のドラマトゥルギー』
- 佐藤滋『まちづくりの科学』


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