はじめに
夏場を迎える前に気になるのが、各地のダムの貯水率です。
特に2026年6月時点では、地域によってかなり差が出ています。四国の早明浦ダムや東海の木曽川系では比較的余裕がある一方で、首都圏の利根川・多摩川系、九州北部の筑後川系では注意が必要な水準です。
今回は、全国の主要なダムについて、現在の貯水率を平年値と比較しながら、夏場の危険度を10段階で評価します。
※データは主に水資源機構の2026年6月11日確定値、国土交通省関東地方整備局の2026年6月19日現在のデータを参考にしています。
危険度の見方
危険度は以下の基準で評価します。
- 1〜2:ほぼ心配なし
- 3〜4:平年並み、またはやや注意
- 5〜6:夏場の雨次第で注意
- 7〜8:渇水・取水制限リスクあり
- 9〜10:かなり危険。まとまった雨が必要
1. 利根川上流9ダム
首都圏の水道を支える重要水源

影響地域
東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県など
貯水率
2026年6月19日時点:49%
2026年6月11日時点:53.8%
平年:68.7%
危険度:7/10
利根川上流9ダムは、首都圏の水道・農業用水・工業用水を支える非常に重要な水源です。
6月中旬時点で貯水率は平年を下回っており、夏前としてはやや不安が残る水準です。すぐに危機的というほどではありませんが、7月以降にまとまった雨が少ない場合、取水制限の可能性が高まります。
特に首都圏は人口が多く、水の使用量も大きいため、貯水率が下がると影響範囲が非常に広くなります。
2. 下久保ダム
利根川水系の中でも特に低い水準

影響地域
群馬県、埼玉県、東京都方面
貯水率
2026年6月11日時点:32.0%
平年:74.2%
危険度:8/10
下久保ダムは、利根川水系の中でも特に貯水率の低さが目立っています。
平年の半分以下に近い水準であり、夏場の高温・少雨が重なると、かなり厳しい状況になります。首都圏全体の水源は複数のダムで支えられているため、下久保ダム単体で即水不足になるわけではありません。
しかし、利根川水系全体の余裕が少ない中でこの数値は軽視できません。
3. 小河内ダム
東京都の水道に直結する多摩川水系の要

影響地域
東京都の水道、多摩川流域
貯水率
2026年6月19日時点:約38%
東京都水道局データでも約37.7%
危険度:8/10
小河内ダムは、東京都の水道に関わる重要なダムです。
6月中旬時点で貯水率が4割を切っており、夏前としてはかなり低い水準です。多摩川水系だけで東京全体を支えているわけではありませんが、東京都の水源の一部として重要な役割を持っています。
今後の梅雨後半でどれだけ回復するかが重要です。雨が少ないまま夏に入ると、危険度はさらに上がります。
4. 荒川水系ダム群
東京・埼玉方面を支える補完的水源

影響地域
埼玉県、東京都方面
貯水率
荒川4ダム:2026年6月19日時点で52%
浦山ダム:2026年6月11日時点で52.3%
滝沢ダム:2026年6月11日時点で40.9%
危険度:6/10
荒川水系は、首都圏の水源として利根川水系とともに重要です。
貯水率は極端に低いわけではありませんが、平年と比べると余裕が大きいとは言えません。特に滝沢ダムは40%台であり、夏場に降雨が少なければ注意が必要です。
首都圏全体として見ると、利根川・多摩川・荒川の複数水系で低めの傾向がある点が問題です。
5. 早明浦ダム
四国の水がめは現時点で余裕あり

影響地域
徳島県、香川県、愛媛県、高知県
特に香川用水への影響が大きい
貯水率
2026年6月19日時点:100.0%
平年:84.1%
危険度:1/10
早明浦ダムは「四国の水がめ」と呼ばれる代表的なダムです。
香川県を中心に、四国各地の生活用水・農業用水・工業用水に関わっています。渇水時にはよく名前が出るダムですが、2026年6月時点では貯水率100%で、平年を上回っています。
現時点では夏場の危険度はかなり低いです。ただし、四国は夏の少雨が続くと一気に状況が変わるため、油断はできません。
画像挿入位置:早明浦ダムの画像
6. 徳山ダム
木曽川水系を支える巨大ダム

影響地域
愛知県、岐阜県、三重県、名古屋圏
貯水率
2026年6月11日時点:71.4%
平年:65.9%
危険度:2/10
徳山ダムは、木曽川水系に関わる大規模なダムです。
名古屋圏の都市用水や工業用水にも関係しており、東海地方の水利用を考えるうえで重要な存在です。2026年6月時点では平年を上回る貯水率で、夏前としては比較的安心できる水準です。
現時点では渇水リスクは低いと見てよいでしょう。
7. 岩屋ダム
木曽川系ではかなり安定

影響地域
愛知県、岐阜県、三重県、名古屋圏
貯水率
2026年6月11日時点:100.0%
平年:84.4%
危険度:1/10
岩屋ダムは木曽川水系の重要なダムです。
2026年6月時点では貯水率100%で、平年値を大きく上回っています。東海地方では、少なくとも現時点で深刻な水不足の心配は小さいと考えられます。
木曽川系は全国的に見てもかなり安定している部類です。
8. 宇連ダム
東三河の水利用を支える豊川水系

影響地域
愛知県東三河地域、豊橋市、豊川市周辺
貯水率
2026年6月11日時点:79.7%
平年:69.9%
危険度:2/10
宇連ダムは、豊川水系の重要なダムです。
東三河地域の農業用水・工業用水・生活用水に関わります。2026年6月時点では平年を上回っており、夏前としては比較的良好な状態です。
豊川水系は過去に渇水が問題になることもありますが、現時点では大きな危険は低いです。
9. 高山ダム
淀川水系は低く見えるが平年並み

影響地域
京都府、大阪府、奈良県、淀川流域
貯水率
2026年6月11日時点:30.5%
平年:31.1%
危険度:4/10
高山ダムは、淀川水系に関わるダムです。
貯水率だけを見ると30%台で低く感じますが、平年値も31.1%であり、現在の水準はほぼ平年並みです。つまり、数値だけで「危険」と判断するのは誤りです。
ダムは水系や運用目的によって、平年の貯水率が大きく異なります。高山ダムの場合、現時点では過度に心配する必要はありません。
10. 日吉ダム
京都・大阪方面に関わる淀川水系のダム

影響地域
京都府南部、大阪府方面、淀川流域
貯水率
2026年6月11日時点:52.6%
平年:47.2%
危険度:3/10
日吉ダムは、京都府南丹市にある淀川水系のダムです。
2026年6月時点では平年をやや上回っており、夏場を前に大きな不安はありません。関西圏全体の水利用は複数の水源で支えられているため、日吉ダム単体で判断するのではなく、淀川水系全体で見る必要があります。
現時点では安定寄りです。
11. 江川ダム
九州北部で注意が必要な筑後川水系

影響地域
福岡都市圏、筑後川流域
貯水率
2026年6月11日時点:44.7%
平年:87.0%
危険度:8/10
江川ダムは、筑後川水系の重要なダムです。
2026年6月時点では平年を大きく下回っており、九州北部の中でも注意が必要な水準です。福岡都市圏は人口が多く、水需要も大きいため、筑後川水系の貯水率低下は生活への影響につながりやすいです。
梅雨後半で回復しなければ、夏場の渇水リスクは高まります。
12. 小石原川ダム
全国的に見ても危険度が高い水準

影響地域
福岡都市圏、筑後川流域
貯水率
2026年6月11日時点:23.2%
平年:78.3%
危険度:9/10
小石原川ダムは、今回取り上げた中でも特に危険度が高いダムです。
貯水率は23.2%で、平年の78.3%を大きく下回っています。平年比で見てもかなり低く、今後まとまった雨がなければ、夏場の水利用に不安が残ります。
福岡都市圏や筑後川流域への影響を考えると、現時点で最も注意すべきダムの一つです。
全国主要ダムの危険度まとめ
| ダム・水系 | 地域 | 貯水率 | 平年 | 危険度 |
|---|---|---|---|---|
| 利根川上流9ダム | 首都圏 | 49% | 約69% | 7 |
| 下久保ダム | 群馬・埼玉・東京方面 | 32.0% | 74.2% | 8 |
| 小河内ダム | 東京都 | 約38% | — | 8 |
| 荒川4ダム | 東京・埼玉方面 | 52% | — | 6 |
| 早明浦ダム | 四国 | 100% | 84.1% | 1 |
| 徳山ダム | 東海 | 71.4% | 65.9% | 2 |
| 岩屋ダム | 東海 | 100% | 84.4% | 1 |
| 宇連ダム | 東三河 | 79.7% | 69.9% | 2 |
| 高山ダム | 関西 | 30.5% | 31.1% | 4 |
| 日吉ダム | 関西 | 52.6% | 47.2% | 3 |
| 江川ダム | 九州北部 | 44.7% | 87.0% | 8 |
| 小石原川ダム | 九州北部 | 23.2% | 78.3% | 9 |
まとめ
2026年夏前に特に注意すべき地域
2026年6月時点で特に注意すべきなのは、以下の地域です。
- 九州北部・筑後川水系
- 首都圏・利根川水系
- 東京都・多摩川水系
特に小石原川ダム、江川ダム、下久保ダム、小河内ダムは、平年と比べてかなり低い水準です。
一方で、早明浦ダム、木曽川水系、豊川水系は現時点で余裕があります。関西の淀川水系は、一部のダムで数値は低く見えますが、平年と比べると大きな異常ではありません。
ダムの貯水率を見るときは、単に「何%か」だけで判断するのではなく、「平年と比べてどうか」「どの地域の水道に影響するか」「これから雨が増える時期かどうか」を合わせて見る必要があります。
2026年の夏は、全国一律で危険というより、地域差がかなり大きい状況です。特に首都圏と九州北部では、今後の梅雨後半の雨量が重要になります。
参考資料
- 水資源機構「水源情報・ダム貯水状況」
- 国土交通省 関東地方整備局「関東地方のダム貯水状況」
- 東京都水道局「水源・貯水量情報」

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