北海道の最東端に位置する根室市。かつては水産業で栄え、人口は約5万人規模を誇っていました。しかし現在は約2.3万人まで減少し、地価も大きく下落しています。
この変化は単なる「人口減少」では説明できません。都市の構造そのものに原因があります。本記事では、地図と数値データをもとに、なぜ根室市が現在の状態に至ったのかを建築・都市・不動産の10観点から分析します。
結論:産業依存と都市構造が連動して崩壊した
結論から言うと根室市は、
「産業に最適化されたが、都市として持続可能な構造ではなかった」都市です。
人口減少(約-50%)、就業者減少(約-26%)、地価下落(約-56%)というデータは、すべて同じ構造的問題を示しています。
仮説
- 産業依存型の都市構造
- 回遊性の低い空間
- 投資が生まれない経済構造
👉 産業の衰退が都市の衰退に直結した
① 空間構成:分散した都市構造

根室市は半島状の地形で、市街地は港周辺に広がりながらも低密度に分散しています。
この構造は
都市の中心性を弱め、機能が分散する要因となります。
② 動線・回遊性:人の流れが生まれない
根室市の交通はJR花咲線が一本通るのみで、本数も少なく、高速道路も未整備です。
この結果、
- 外部からの流入が少ない
- 内部の回遊も弱い
👉 都市に人の流れが生まれない構造となっています。
③ 断面構成:産業と生活の分断

根室は平坦な地形ですが、港湾機能と市街地が分離しています。
これは
産業と生活が交わらない都市構造を意味し、経済活動の波及効果が弱くなります。
④ 用途構成:単一産業依存
根室は水産業に強く依存していました。しかし就業者数は20年で約26%減少しています。
この結果、
都市の用途が単機能化し、変化に弱い構造となりました。
⑤ 公共空間:滞在する理由がない
人口約2.3万人という規模もあり、大規模な広場や人が集まる拠点は限られています。
その結果、
人が滞在せず、都市に活気が生まれにくい状態です。
⑥ 建築群の質:更新の停滞
事業所数や雇用の減少(30%以上減少)とともに、建築の更新も停滞しています。
これは
投資が入らない都市の典型的な状態です。
⑦ 環境性能:自然条件の厳しさ
根室は濃霧や強風が多く、冬季は厳しい気候となります。
これにより
歩行や滞在が難しく、都市活動が制限される傾向があります。
⑧ 更新性・時間軸:人口半減
根室市の人口は
- 約5万人 → 約2.3万人へ減少
さらに将来は半減が予測されています。
これは
都市規模そのものの縮小を意味します。
⑨ 不動産・経済:地価の下落
根室市の地価は約20年で56%下落しています。
この現象は
- 需要減少
- 投資減少
- 更新停滞
という負の連鎖を生みます。
⑩ 制度・政策:構造を変えられない
各種政策は行われていますが、都市構造そのものを変えるには至っていません。
つまり
制度では構造問題を解決できていない状態です。
結論:すべてのデータは一本の線でつながる
根室市の問題はバラバラではありません。
- 人口減少(約-50%)
- 就業者減少(約-26%)
- 地価下落(約-56%)
これらはすべて連動しています。
因果構造
人口減少
↓
需要減少
↓
地価下落
↓
投資減少
↓
都市更新停止
👉 都市が自動的に縮小する構造
今後の展望
今後考えられる方向性は以下です。
- 都市機能のコンパクト化
- 港湾と市街地の再接続
- 観光や二拠点居住の導入
ただし、これらが実現しなければ
縮小均衡型都市へ移行する可能性が高いでしょう。
まとめ
根室市の衰退は、単なる人口減少ではありません。
それは
都市構造と経済構造が連動して崩れた結果です。
この視点で見ることで、地方都市の課題はより明確になります。そしてそれは、他の多くの都市にも共通する問題でもあります。
参考文献
・根室市統計資料
・北海道統計情報
・国土地価公示データ
・各種都市データ分析資料
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