― 建物を設計するだけが“街づくり”じゃない ―
🎓 はじめに:建築学生の「将来像」が一色すぎる問題
「将来どんな仕事したい?」と聞くと、
多くの建築学生がこう答えます。
「設計事務所に入りたい」
「有名建築家の下で修行したい」
もちろんそれは立派な夢。
でも実は、建築の学びを生かせる場所は設計以外にもたくさんあるんです。
🧭 街づくり業界マップ:建築と不動産の接点を“見える化”してみた
【街をつくる人たちの全体像】
┌────────────────────────────┐
│ 🏦 金融・行政 → 資金・ルールを決める │
│ 🏙️ デベロッパー・不動産企画 → 土地を活用・企画する │
│ 🏗️ 設計事務所・ゼネコン → 建物を設計・建てる │
│ 🏠 不動産仲介・管理会社 → 住まいを人につなげる │
│ 👥 利用者・地域住民 → 暮らしをつくる主役 │
└────────────────────────────┘
↓
【街の価値が生まれる】
つまり、街は土地(不動産)×建物(建築)×人(生活)の連鎖でできている。
そして、そのどの段階にも建築学生が関われる可能性があります。
🏢 1. デベロッパー:街の“企画者”
「この土地に何を建てるべきか?」を考えるのが、デベロッパー。
彼らは土地を仕入れ、建築家と一緒に
「オフィスビルにするのか」「商業施設にするのか」などを決めます。
💡建築学生のスキルが生きる場面
- 敷地条件を読み取って最適なボリュームを検討
- 建築デザインや用途を企画段階で提案
- 図面や模型でプレゼン資料をつくる
実はここで活躍する若手社員の多くが、建築学科出身なんです。
🧱 2. 設計事務所・ゼネコン:形にする“設計者・技術者”
おなじみのフィールド。
設計事務所では空間をデザインし、
ゼネコンでは建設を実行します。
ただ、ここでも“不動産的視点”が役立ちます。
「この敷地は賃貸オフィスとしてどのくらいの収益が出せるか」
「建設コストと地価をどうバランスさせるか」
といった事業性の判断ができる設計者は、企業からの信頼が厚いです。
🏠 3. 不動産仲介・管理会社:人と建物をつなぐ“橋渡し役”
建物を「建てたあと」に関わるのがこの仕事。
たとえば──
- 学生向けアパートを企画して入居者を集める
- 商業施設のテナント配置を考える
- 建物の修繕やリニューアルを設計者と相談する
これも立派な「街のデザイン」。
人の暮らしをリアルに感じられる点では、建築より“人間的”とも言えます。
🌆 4. 公共セクター・都市開発:街全体を設計する仕事
自治体や都市開発公団、再開発組合なども
建築と不動産の両方を扱う職場です。
- 都市計画課で土地利用をコントロールする
- 再開発事業で民間企業と連携しながら建物群を再構築する
- 災害復興やまちづくり支援で地域と一緒に未来を考える
ここでは「建物」よりも街というスケールで設計力を発揮します。
👩🎓 学生の声:進路に悩むリアルな瞬間
「設計も好きだけど、もっと街づくり全体に関われる仕事がしたい」
「建物よりも“どう使われるか”を考えるのが好き」
こう感じる学生、実はすごく多いです。
でも「建築=設計事務所しかない」と思い込んでいる人も多い。
だからこそ、不動産×建築という視点を持つだけで、
進路の選択肢は一気に広がります。
💬 ここで整理:建築学生が活躍できる主な職種
業界 | 仕事内容 | 建築の知識が活かせるポイント |
---|---|---|
デベロッパー | 土地を仕入れ、建物を企画 | ボリュームプラン・用途提案 |
設計事務所 | 建物をデザイン・設計 | 空間設計・法規対応 |
ゼネコン | 建設・施工管理 | 図面・構造・工程理解 |
不動産仲介・PM | 建物と利用者をつなぐ | 建物性能・間取り提案 |
行政・都市計画 | 土地利用の計画・調整 | 都市スケールの設計感覚 |
🌱 まとめ:「建築」だけでなく「街」を設計するという視点
建築学生に伝えたいのは、
「設計図面を描く」ことだけが建築の仕事じゃないということ。
街の価値を上げるために、
- 土地をどう使うか
- どんな建物をつくるか
- 誰にどう届けるか
を考えるすべてが、“建築的な仕事”です。
💡 今日の学び
- 不動産×建築業界は「街の流れ」を生み出す仕組み
- 建築学生のスキルは企画・管理・開発などにも活かせる
- 将来を考えるときは「形」だけでなく「土地と人」に目を向けよう
🔍 明日からできること
- 不動産企業やデベロッパーの求人サイトを見てみる
- 建物の“裏側”にある企画・土地情報を調べてみる
- 課題で「この建物の事業スキーム」を想像してみる
👣 次回予告(第3回)
👉「建築学生が宅建を学ぶ意味とは?」
〜“法律と設計”の橋をかける考え方〜
コメント