赤坂駅の真上で、2棟の高層ビルが建設中です。赤坂二・六丁目地区開発計画。三菱地所とTBSホールディングスが共同で進めるプロジェクトで、2028年の竣工を目指しています。
このプロジェクトの面白さは、「誰が楽しむのか」がはっきり分かれていることです。観劇に来る人、ホテルに泊まる人、駅で待ち合わせる人、スタートアップで働く人——それぞれに向けた場所が用意されています。
ビジョンは「赤坂エンタテインメント・シティ」。この記事では、誰がどう楽しめるのかを整理します。
事業の基本情報
地図:OpenStreetMap/位置・範囲は概略です。街区や広場の配置は公表イメージをもとにした模式表示です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 赤坂二・六丁目地区開発計画 |
| 所在地 | 東京都港区赤坂(国際新赤坂ビル跡地) |
| 事業者 | 三菱地所・TBSホールディングス |
| 認定 | 国家戦略特別区域(2021年11月)/民間都市再生事業計画(2024年2月9日) |
| 着工 | 2024年1月(東街区)/2024年2月(西街区) |
| 竣工 | 2028年(東街区は同年10月末に全体完成) |
| エリアコンセプト | 「Shake the World. AKASAKA」 |
2棟の構成はこうです。
| 東街区(A工区) | 西街区(B工区) | |
|---|---|---|
| 規模 | 地上40階・地下4階 | 地上18階・地下3階 |
| 高さ | 205.80m | 99.87m |
| 敷地面積 | 8,761.70㎡ | 5,415.06㎡ |
| 延床面積 | 167,642㎡ | 38,143㎡ |
| 主な用途 | オフィス、商業、インキュベーション施設 | 劇場・ホール、ホテル |
| 施工 | 鹿島建設 | 大林組 |
設計は両棟とも三菱地所設計。デザインは、赤坂の地域性・歴史性の文脈から「舞」をモチーフとした建物計画になっています。
完成イメージがこちらです。

①エンタメを観に来る人:約11,000㎡の劇場・ホール
西街区の低層部に、最新技術を活用し世界水準のエンタテインメントを提供・発信する劇場・ホール(約11,000㎡)が整備されます。
特徴は最新配信設備を備えていることです。つまり会場に来た人だけでなく、世界中に配信する前提でつくられる劇場です。TBSという総合コンテンツ企業が関わる意味がここに出ています。
赤坂にはすでにTBS赤坂ACTシアターとTBS赤坂BLITZスタジオがあります。そこに新しい劇場・ホールが加わることで、赤坂が劇場街として厚みを増す構図です。
国内外からの幅広い客層を呼び込む賑わいの核として、来街者に「最高の”時”」を感じてもらえる場所を目指すとされています。
②泊まる人:国際水準のハイグレードホテル
西街区の高層部には宿泊・滞在機能(約12,000㎡)が入ります。
ホテルは「キャノピー by ヒルトン東京赤坂」。対象は外国人を含む観光・ビジネス客、エンタテインメント産業関係者で、短期および中長期滞在の場を提供します。
さらに、赤坂駅周辺の来訪者に対しても滞在時の拠点となる空間や、劇場等と連携した文化体験の場を提供するとされています。
劇場とホテルが同じ建物に入る——公演を観て、そのまま同じ建物に泊まれるという構成です。地方や海外から来る観客にとって、これは大きな価値になります。
③駅を使う人:約4,900㎡の駅前空間と広場
日常的に最も影響が大きいのがこれです。
東京メトロ千代田線「赤坂駅」に直結し、地下2階から地上にかけて、駅とまちの境界を感じさせない駅前空間や賑わい・交流の場となる広場(合計約4,900㎡)が整備されます。
具体的にはこうなります。
- 赤坂駅から連続した空間で地上まで移動できる
- 各街区の駅出入口(5番・6番)にエレベーター・エスカレーターなどのバリアフリー動線
- 広場ではイベント開催やオープンカフェの設置
赤坂駅は地下深くにあり、地上に出るまでが長い駅です。それが「駅とまちの境界を感じさせない」連続空間になるのは、通勤者にとって体感が大きく変わる変化です。
重層的な駅前空間のイメージがこちらです。


④創る人:約1,000㎡のインキュベーション施設
東街区には、クリエイターやスタートアップ企業と、赤坂エリア周辺の大企業との交流を促進する場(約1,000㎡)が整備されます。
赤坂には大企業からスタートアップまで多様なエンタテインメント関連企業が集積しています。そこに以下が加わります。
- デモスペースの整備
- 駅・まち一体空間、ホールを活用した新技術や作品の展示・実装
- 実証実験や情報発信
劇場とインキュベーション施設が同じ街区にあるのがポイントです。新しい映像技術や演出装置を、その場で実際のホールで試せる。つくって、試して、発信するが1か所で完結する設計です。
⑤働く人:40階建てのオフィス
東街区の6〜39階がオフィスフロアになります。低層部には商業施設とインキュベーション施設が入ります。
環境性能では、建物計画の効率化等により『ZEB Oriented』の認証取得(事務所部分)を予定。老朽化した地域冷暖房(DHC)の再整備により面的エネルギーネットワークを強化し、高効率のコージェネレーションシステム(CGS)や太陽光発電の活用で、CASBEE「Sランク」を目指します。
⑥訪れる人・帰れない人:交通と防災
交通機能として、空港リムジンバスや観光周遊バスを受け入れるバス乗降場が整備されます。駅まち空間にはインフォメーション機能も設けられ、交通や街のイベント情報が発信されます。
空港から直接バスで来て、劇場を観て、同じ建物に泊まる——観光客にとって完結度の高い動線です。
防災機能も充実しています。
| 施設 | 規模 |
|---|---|
| 帰宅困難者の一時滞在施設 | 合計約1,100㎡・約650人収容 |
| 防災備蓄倉庫 | 約100㎡・約650人分 |
| 屋外の一時待機場所 | 合計約1,500㎡ |
加えて、サイネージを活用した災害情報の発信、DHC事業者と連携したCGSの活用と非常用発電施設による電力確保が図られます。
赤坂サカスと一体で「エンタテインメント・シティ」へ
この開発は単独で完結しません。2008年にオープンした赤坂サカスと一体となって機能します。
TBSが赤坂に持つ施設群はこうです。
- TBS放送センター
- 赤坂サカス
- TBS赤坂BLITZスタジオ
- TBS赤坂ACTシアター
- 赤坂Bizタワー
- + 今回の2棟(2028年)
これらをまとめた構想が「赤坂エンタテインメント・シティ計画」です。
エリアコンセプト「あらゆる世界を揺さぶる、エンタテインメントの街へ。Shake the World. AKASAKA」には、TBSが創業以来70年間ともに歩み続けてきた赤坂という街と一緒に、人の心を揺さぶることの素晴らしい価値に本気で取り組んでいきたいという想いが込められています。
まとめ:誰がどう楽しめるか
| 誰が | 何を楽しめるか |
|---|---|
| 観客 | 約11,000㎡の劇場・ホール(最新配信設備つき) |
| 旅行者 | キャノピー by ヒルトン東京赤坂、空港リムジンバス乗降場 |
| 通勤・通学者 | 赤坂駅直結の約4,900㎡の駅前空間、バリアフリー動線 |
| 地域の人 | 広場でのイベント、オープンカフェ |
| クリエイター・起業家 | 約1,000㎡のインキュベーション施設、デモスペース |
| ワーカー | 40階建てのオフィス、低層部の商業施設 |
| 災害時の帰宅困難者 | 約650人収容の一時滞在施設 |
劇場・ホテル・オフィス・広場・インキュベーションが1か所に集まるというだけなら他にもあります。この開発の独自性は、TBSというコンテンツ企業が事業者側にいることです。
つくる人(インキュベーション)、演じる場所(劇場)、届ける手段(配信設備)、観に来る人が泊まる場所(ホテル)。エンタメの生態系を1つの街区に閉じ込めようとしているのが、このプロジェクトの本当の狙いだと思います。
2028年、赤坂駅を出た瞬間の景色が変わります。
よくある質問
Q. 赤坂二・六丁目地区開発計画はいつ完成する?
2028年3月末に2棟とも竣工予定で、東街区は外構工事を経て同年10月末に全体が完成する見込みです。
Q. どんな建物が建つ?
東街区に地上40階・高さ205.80mのオフィス主体のビル、西街区に地上18階・高さ99.87mの劇場・ホールとホテルのビルが建ちます。
Q. ホテルは何が入る?
「キャノピー by ヒルトン東京赤坂」が西街区の高層部に入る予定です。短期から中長期滞在に対応します。
Q. 劇場の規模は?
約11,000㎡で、最新配信設備を備えた世界水準のコンテンツ発信拠点として整備されます。具体的な座席数は公表されていません。
Q. 赤坂駅とどうつながる?
東京メトロ千代田線「赤坂駅」に直結し、地下2階から地上にかけて合計約4,900㎡の駅前空間・広場が整備されます。5番・6番出入口にバリアフリー動線が設けられます。


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