浜松町駅の西口で、駅そのものが作り替えられています。中心にあるのが世界貿易センタービルディング本館の建て替え——事業名では「浜松町二丁目4地区A街区」です。
1970年竣工、高さ152mの旧本館はすでに解体済み。跡地には高さ233.522m・地上46階のタワーが建ちます。
ただしこのプロジェクトの本質は、ビルではなく駅の作り替えにあります。JR・モノレール・地下鉄の改札と周辺のビルが、すべて3階レベルでフラットにつながる——浜松町駅の使い方が根本から変わります。
事業の基本情報
地図:OpenStreetMap/位置・範囲は概略です。デッキや通路の位置は公表資料をもとにした模式表示です。情報は2026年9月時点。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | (仮称)浜松町二丁目4地区A街区(A棟) |
| 建物名 | 世界貿易センタービルディング本館 |
| 所在地 | 東京都港区浜松町二丁目4-1(予定) |
| 規模 | 地上46階・塔屋2階・地下3階/高さ233.522m |
| 敷地面積 | 15,726.55㎡(A棟全体) |
| 延床面積 | 約301,998㎡(A棟全体) |
| 構造 | S造・RC造・SRC造/制震構造 |
| 建築主 | 世界貿易センタービルディング、鹿島建設、東京モノレール、JR東日本 |
| 設計 | 日建設計・鹿島建設(基本)/鹿島建設(実施) |
| 施工 | 鹿島建設 |
| 工期 | 2021年8月(解体含む)〜2027年3月31日竣工予定 |
建築主に東京モノレールとJR東日本が名を連ねているのがポイントです。鉄道会社が事業者側にいる=駅の改良が事業に組み込まれているということです。
旧本館は1970年3月竣工。霞が関ビルディング(1968年)に次ぐ、日本で2番目に竣工した高さ100m超の超高層ビルでした。当時は「東洋一の高さ」と言われた建物です。
完成イメージがこちらです。



A街区は4つの施設でできている
「A街区」とひとくくりに呼ばれますが、実は4つの施設に分けて段階的に整備されています。
| 施設 | 規模 | 状況 |
|---|---|---|
| 世界貿易センタービルディング南館 | 地上39階・高さ197.321m | 2021年3月 竣工済み |
| 世界貿易センタービルディング本館(A-1棟) | 地上46階・高さ233.522m | 2027年3月 竣工予定 |
| ターミナル(A-2棟) | 地上8階・地下3階・高さ約50m | 2027年 一部開業予定 |
| 東京モノレール浜松町駅(モノレール棟) | 地上5階・高さ約33.65m | 2027年12月 竣工予定 |
さらに周辺には関連する街区があります。
- B街区:日本生命浜松町クレアタワー(地上29階・高さ155.04m/2018年8月竣工済み)
- C地区:WORLD TOWER RESIDENCE(地上46階/2026年12月 全体竣工予定)
つまり2018年から2027年まで、10年かけて6棟が順番に建つという壮大な工程です。
浜松町駅はどう変わるのか
ここが本題です。変化は「階の役割分担」として整理されています。
3階=歩行者、1階=車両
事業者の説明が明快です。電車、バス、タクシーなどの乗り換えが格段にスムーズになり、駅の改札から駅前の開発エリア一体が歩行者デッキでつながる。
具体的にはこうなります。
| 階 | 役割 |
|---|---|
| 3階 | 歩行者レベル。全ビルとJR・モノレールの改札がフラットに接続 |
| 1階 | 車両レベル。バス、タクシー、自転車の通行がメイン |
先行開業した日本生命浜松町クレアタワー、世界貿易センタービルディング南館、そして建設中の各棟と、JRとモノレールの改札すべてが歩行者用通路によって3階レベルでフラットにつながります。
歩車分離を「階」で徹底するというのが、この再開発の骨格です。
改札を出たところに3層吹抜けの広場
3階には、改札を出たところにインパクトのある3層吹抜けの広場空間ができます。
浜松町駅を使ったことがある人なら分かると思いますが、現在の乗り換えは狭く、上下移動が多く、分かりにくい。特にモノレールとJRの乗り換えは、羽田からのスーツケースを持った利用者にとって難所です。
それが改札を出た瞬間に吹抜けの広場が広がるという体験に変わります。
デッキと3階レベルの広場のイメージがこちらです。



モノレール浜松町駅も建て替え中
駅そのものが新しくなるというのが、この事業のもう一つの核です。
モノレール浜松町駅は1964年開業。旅客量の増大とJR浜松町駅との乗換利便性向上のため、これまで何度も改良工事を重ねてきました。
- 国鉄浜松町駅とを結ぶ跨線橋を設置(モノレールビルが国鉄浜松町駅南口として機能)
- 90m列車の運行に向けたホーム延伸
- 羽田新線開業と天王洲アイル駅周辺開発による利用者増に対応した南口増築
- JR南口改札階とモノレール中央改札階をフラットに結ぶ新連絡通路
そして今回、新駅舎への建て替えに至りました。
改札を3階に集約
最大の変化がこれです。現在2階と3階に分かれている改札口を3階に集約し、JRや地下鉄との乗り換えがしやすい動線をつくります。
新駅ビル3階中央部に、開発ビルと駅を直結する歩行者広場が整備されます。
すでに一部が使用開始
工事は段階的に進んでいます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月13日 | 新駅舎の一部を使用開始。新たな北改札・中央改札を使用開始し、従来の中央口改札・南口改札を閉鎖 |
| 2027年春頃 | 「のりかえ改札」および駅構内レイアウトの一部変更を予定 |
| 2027年12月 | モノレール棟 竣工予定 |
新駅舎は「劇場的な体験価値を備えた駅空間」をめざし、「和」や「旅のドラマ」を感じられる内外装・照明が施されるとされています。海外からの利用者にも分かりやすく使いやすい駅を目指す方針です。
すでに改札が変わっているので、久しぶりに浜松町駅を使う人は注意してください。
なお、複線化は行われない
鉄道ファン向けの補足です。東京モノレールは2009年に浜松町駅の複線化方針を示していましたが、新駅ビルは1線構造とみられています。
背景には2013年のJR東日本による羽田空港アクセス線計画の公表があります。東京モノレールはJR東日本の子会社であり、親会社が羽田への鉄道新線を建設するのであれば、モノレールの輸送力強化は二重投資になるためです。
新橋・東京駅方面への延伸計画も、この建て替えで事実上お蔵入りとなった形です。
本館とターミナルには何が入るのか
本館(A-1棟)
| 階 | 用途 |
|---|---|
| 高層階 | ホテル「ラッフルズ東京」(130室・日本初進出・2028年開業予定) |
| 中層階 | オフィス |
| 5階 | 多言語対応のワールドメディカルセンター |
| 3階 | オフィスエントランス、ホテルエントランス |
| 2階 | 観光プレ体験施設、多言語対応のキッズセンター |
用途にはカンファレンス、メディカルセンター、キッズセンター、観光プレ体験施設、DMO活動施設が並びます。
「観光プレ体験施設」が面白い機能です。通常の観光案内所の機能に加え、実際に地方の職人を招いたイベントなどが行われる施設とされています。羽田空港からモノレールで最初に着く都心の駅で、日本各地の体験を「予習」してもらうという発想です。
ターミナル(A-2棟)
本館と南館に挟まれる建物です。
| 階 | 用途 |
|---|---|
| 6〜7階 | 大規模な国際ホール・カンファレンス施設、屋上庭園 |
| 3〜5階 | 商業施設「アトレ」 |
| 1階 | バスターミナル |
バスターミナルは1階です。3階が歩行者、1階が車両という原則がここでも徹底されています。
旧本館にもバスターミナルがありましたが、空港リムジンバスの拠点として機能を強化する形になります。
駅の外側も変わる
この再開発には、区域外への貢献も含まれています。
| 整備内容 | 時期 |
|---|---|
| 北口東西自由通路 | 2019年度〜2026年度 |
| JR浜松町駅南口ラチ外通路 | 2027年度〜2029年度 |
| 旧芝離宮恩賜庭園の整備 | 2025年度〜2026年度 |
浜松町駅は東西の行き来がしにくい駅でした。それを解消する北口東西自由通路が2026年度に完成予定。さらに南口にも改札外通路が整備されます。
つまり駅の東西・南北の通り抜けが両方改善されるわけです。
A街区全体の工期は2014年度〜2029年度。北口自由通路や南口通路を含めると、15年以上にわたる駅の大改造ということになります。
まとめ:浜松町駅はこう変わる
- 旧本館(1970年・152m)を解体し、高さ233.522m・地上46階の新本館へ
- A街区は南館・本館・ターミナル・モノレール駅の4施設で段階整備
- 3階=歩行者、1階=車両の階別分離を徹底
- JR・モノレールの改札と全ビルが3階でフラット接続
- 改札を出たところに3層吹抜けの広場
- モノレールは改札を3階に集約(2026年6月に新改札が使用開始済み)
- 本館高層部にラッフルズ東京(日本初・130室)、ターミナル1階にバスターミナル
- 北口東西自由通路(2026年度)、南口ラチ外通路(2029年度)で駅の通り抜けも改善
浜松町駅は、羽田空港からモノレールで来た人が最初に降りる都心の駅です。にもかかわらず、乗り換えの分かりにくさが長年の課題でした。
この再開発は、そこを「階の整理」という明快な手法で解こうとしている点が特徴です。歩行者は3階、車は1階。それだけのルールで、駅と6棟のビルがつながります。
2027年、浜松町駅の乗り換えは別物になります。
よくある質問
Q. 世界貿易センタービルディング本館はいつ完成する?
2027年3月31日の竣工予定です。高層部のホテル「ラッフルズ東京」は2028年の開業予定です。
Q. 高さと階数は?
地上46階・塔屋2階・地下3階、高さ233.522mです。旧本館は地上40階・高さ152mでした。
Q. モノレールの改札はどう変わった?
2026年6月13日から新駅舎の一部が使用開始され、新たな北改札・中央改札が稼働、従来の中央口改札と南口改札は閉鎖されました。最終的に改札は3階に集約されます。
Q. モノレールは複線化される?
新駅ビルは1線構造とみられ、複線化は行われない見通しです。JR東日本の羽田空港アクセス線計画との二重投資を避けたためとされています。
Q. ホテルは何が入る?
ラグジュアリーホテル「ラッフルズ東京」が日本初進出し、130室で2028年に開業予定です。


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