浜松町駅の南側、芝浦運河と東京湾に面した約4haで進む大規模開発。BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦)です。
高さ約235mのツインタワー。1棟目のTOWER Sは2025年9月1日に開業し、2棟目のTOWER Nは2030年度の完成を目指しています。
このプロジェクトのキーワードは、ひたすら「つなぐ」です。事業者は「陸・海・空を結ぶ交通結節点」と位置づけています。ではどこを、どうやって、何とつないでいるのか。この記事ではそこを整理します。
事業の基本情報
地図:OpenStreetMap/位置・ルートは概略です。GREEN WALKや舟運航路は公表資料をもとにした模式表示です。情報は2026年9月時点。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 街区名 | BLUE FRONT SHIBAURA(ブルーフロント芝浦) |
| 所在地 | 東京都港区芝浦一丁目1-1 |
| 事業者 | 野村不動産・JR東日本 |
| 区域 | 4ha超 |
| 延床面積 | 2棟合計 約55万㎡ |
| 高さ | 約235m(ツインタワー) |
| 設計 | 槇総合計画事務所、清水建設、アラップ、日建設計 |
| 位置づけ | 国家戦略特別区域計画の特定事業 |
| TOWER S | TOWER N | |
|---|---|---|
| 状況 | 2025年9月1日 開業 | 2030年度 完成予定 |
| 跡地 | 「スリーワンプラザ」跡 | 浜松町ビルディング(旧・東芝ビルディング)跡 |
設計者に槇文彦を起用しているのが大きな特徴です。
もともとこの場所には1984年竣工の東芝ビルディング(地上40階・高さ165.9m)がありました。その建て替えに、JR東日本が保有する東海道貨物支線大汐線用地(カートレイン乗降場跡地)を合わせて4ha超の街区としたのが、この事業の成り立ちです。
ツインタワーの姿がこちらです。



つなぐ①:浜松町駅と芝浦を「GREEN WALK」でつなぐ
まず陸のつながりです。
この場所の最大の課題は、浜松町駅から歩いて行きにくかったことです。線路とモノレールの高架を越え、旧東芝ビルの敷地を抜けなければ水辺に出られない。駅から徒歩6分なのに、遠く感じる場所でした。
それを解消するのが「GREEN WALK」です。2025年3月5日に開通しました。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 位置 | BLUE FRONT SHIBAURAの南北に伸びるアプローチ |
| ベース | 港区道である歩行者専用道路 |
| 整備内容 | 植栽や水景による緑のアプローチ |
| 設備 | 大屋根・小屋根を設置 |
| 特性 | アンブレラフリー&バリアフリー |
雨に濡れずに歩けるという点が実用的です。港区道という公共の道を軸に、民間が屋根と緑を整備するという構成になっています。
コンセプトは「都市自然浴」。都市生活者が身近に自然に親しむことで心身の健康回復を促進するという考え方で、樹木の香りを楽しんだり、カフェから景色として眺めたりと、その人が好む自然との触れ合い方を選べる設計とされています。
GREEN WALKは浜松町駅や竹芝エリアと芝浦エリアの回遊性に配慮して計画されました。つまり駅↔芝浦↔竹芝という3方向をつなぐ役割です。
沿道には以下が設けられています。
- 食のプロムナード(四季の緑に包まれて楽しむ)
- 多目的広場(街区の玄関口。イベントや待ち合わせに)
- 小規模広場(小高い丘の上。椅子と電源あり、屋外ワークにも。上空をモノレールが走る)
GREEN WALKと広場の様子がこちらです。



つなぐ②:水辺と舟運で「ベイエリア」をつなぐ
次が海のつながり。ここがこのプロジェクトの独自性です。
事業者はこのエリアを2つの性格を持つ場所と定義しています。
| 性格 | 意味 |
|---|---|
| 陸の「端(edge)」 | 都心でありながら空・海・緑地・運河に恵まれた「TOKYO & NATURE」の象徴的な場所 |
| 東京の「中心(center)」 | ベイエリアと東京都心部をつなぐ結節点 |
「端」でありながら「中心」——この二重性が、水辺という立地の本質を突いています。陸路で見れば東京の端ですが、水路で見れば東京湾のベイエリア全体の中心にあたるわけです。
そこで整備されるのが船着場です。
- ツインタワーの足元に親水空間(テラス)を設計
- 新たな船着場「BLUE FRONT SHIBAURA PIER」を整備
- ラグジュアリーなオリジナル船を新造中
周辺の舟運環境も充実しています。
| 拠点 | 内容 |
|---|---|
| 日の出ふ頭 | 東京で最も古い1925年開港。日の出桟橋は東京湾クルーズや浅草・お台場へのアクセス拠点 |
| Hi-NODE(ハイノード) | 日の出ふ頭の複合施設。レストラン2店、屋外テラス、イベントスペース |
| BLUE FERRY | 晴海と芝浦・日の出を約5分で結ぶ舟運サービス |
| 竹芝ふ頭 | 隣接する舟運拠点 |
晴海まで約5分という数字が効いています。陸路では遠回りになる湾岸エリアが、水路なら5分。舟運を「観光」ではなく交通手段として位置づけている点が、この開発の狙いです。
つなぐ③:3地区で「芝東京ベイ」をつなぐ
3つ目がエリア同士のつながりです。
BLUE FRONT SHIBAURAは単独で完結せず、3地区が連携して「芝東京ベイ」というエリアを形成します。地域・官・民連携によるエリアマネジメント活動を通じ、以下を進める方針です。
- 新たな回遊性向上施策
- 地域資源を活かしたコンテンツ開発
- スマートシティサービス導入
実際の取り組みも始まっています。浜松町駅周辺開発に携わる共創型まちづくり組織による地域課題解決の取り組みとして、「船とまちをつなぐナイトクルーズ」が共同実施されました。2026年夏には「SHIBA TOKYO BAY NIGHT CRUISE」が毎週金曜に開催されています。
開発が完成する前から、エリアとして一緒に動き始めているのがこのプロジェクトの進め方です。
つなぐ④:エネルギーをつなぐ
見落とされがちですが、インフラの接続も行われています。
2025年3月5日、東京ガスと野村不動産が共同設立した東京ガス野村不動産エナジーが整備した「芝浦エネルギーセンター」が竣工し、3月1日からBLUE FRONT SHIBAURAへのエネルギー供給を開始しました。
これにより、既存の芝浦地域冷暖房センターと新しい芝浦エネルギーセンターが連携する「芝浦スマートエネルギーネットワーク」が始動しています。
さらに、外構部分のGREEN WALKには、日立製作所が設計施工したグリーン水素発電システム「G-HES」が構築・導入されました。野村不動産と東京大学先端科学技術研究センターの連携活動の一環です。
歩道の下にエネルギーインフラと水素発電が入っている——GREEN WALKは緑の散歩道でありながら、実験的なインフラの場でもあります。
建物の中身
| 施設 | 内容 |
|---|---|
| オフィス | 貸室総面積の10%相当を多様な共用部として整備 |
| ホテル | フェアモント東京(TOWER S) |
| 商業 | 飲食店等 |
| 本社 | 野村不動産ホールディングス・野村不動産の本社(約3,500名が移転) |
オフィスの取り組みが特徴的です。貸室総面積の10%相当を共用部にするという設計思想で、通常のオフィスビルでは考えにくい比率です。
野村不動産は移転前、隣接する浜松町ビルディング(TOWER N建設予定地)に約800坪のトライアルオフィスを設置しました。移転社員約3,500名全員が約2年半かけて約2か月間のトライアル勤務を2回ずつ体験し、その知見を新本社に反映したとされています。
環境認証はWELL認証(健康・快適性)とLEED認証(環境性能)を取得しています。
構造面では、清水建設が開発した制振システム「BILMUS」の実用化第一弾としてS棟に採用されました。
アクセス
| 経路 | 所要 |
|---|---|
| JR山手線・京浜東北線/東京モノレール「浜松町駅」南口 | 徒歩約6分 |
| ゆりかもめ「日の出駅」2A出口 | 徒歩約7分 |
| 都営大江戸線・浅草線「大門駅」A1出口 | 徒歩約11分 |
| 日の出ふ頭 | 浜松町駅から徒歩9分 |
まとめ:4つの「つなぐ」
- 陸:GREEN WALKで浜松町駅↔芝浦↔竹芝をつなぐ(屋根付き・バリアフリー)
- 海:BLUE FRONT SHIBAURA PIERと舟運でベイエリア各地の水辺をつなぐ(晴海まで約5分)
- エリア:3地区連携で「芝東京ベイ」として回遊性を高める
- インフラ:芝浦スマートエネルギーネットワークで既存施設と新設施設をつなぐ
規模は約55万㎡・高さ235mのツインタワーですが、このプロジェクトの価値は建物よりも「経路」にあると思います。
浜松町駅から水辺までの数百メートル。それが屋根のある緑の道になり、その先に船着場がある。陸から海へ、歩いて行ける。東京の湾岸開発で最も欠けていたのは、この数百メートルでした。
TOWER Nの完成は2030年度。約10年におよぶ開発の、まだ半分です。
よくある質問
Q. BLUE FRONT SHIBAURAはいつ開業した?
TOWER Sが2025年9月1日に開業しました。TOWER Nは2030年度の完成予定です。
Q. 浜松町駅からどう行く?
JR・モノレール「浜松町駅」南口から徒歩約6分です。2025年3月に開通した「GREEN WALK」を通ると、屋根付き・バリアフリーで歩けます。
Q. GREEN WALKとは?
浜松町駅と芝浦エリアをつなぐ、南北に伸びる緑のアプローチです。港区道の歩行者専用道路を中心に植栽や水景を整備し、大屋根・小屋根によってアンブレラフリー&バリアフリーを実現しています。
Q. 船で行ける?
足元に船着場「BLUE FRONT SHIBAURA PIER」が整備されます。近隣では日の出ふ頭の日の出桟橋や、晴海と芝浦・日の出を約5分で結ぶ「BLUE FERRY」が利用できます。
Q. ホテルは何が入る?
TOWER Sに「フェアモント東京」が入ります。
Q. 設計者は誰?
槇総合計画事務所(槇文彦)、清水建設、アラップ、日建設計が手がけています。

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