


はじめに
東京・上野に位置する東京国立博物館(通称「東博」)は、文化・芸術の発信地として長年親しまれてきました。今回は、そのエントランス前庭にある“池”をめぐる改修計画について、背景・変遷・今後の展開をブログ形式で整理しました。建築/ランドスケープ好き、上野散策好きの方にもぜひ読んでいただきたい内容です。
1.池がある場所と役割
博物館本館の正面、敷地の「顔」ともいえる前庭には、水面を伴う池が配されており、建物の威厳と静謐さを演出してきました。敷地内では、庭園・茶室などとあわせて、緑・水・建築が調和する空間として機能しています。 東京国立博物館+1
この池は「人工池」「前庭の池」と呼ばれることもありますが、具体的に“いつ作られたか”については資料に明確な数字が少ないため、以下に可能な限り整理します。
2.“池”がいつからあったか
- 東博の本館が竣工・開館したのは1938年(昭和13年)です。 アエラスタイルマガジン+1
- 敷地案内や案内板に「本館北側に広がる庭園は、池を中心に…」という記述があります。 東京国立博物館
- ただし、「この池が前庭のエントランスに設けられた年」が明記された一次資料は確認できませんでした。
- 一部の散策レポートでは「人工池を配した明るい外観」などの言及があります。 アエラスタイルマガジン
- 平成~令和期の撮影では、池が確かに存在し「水をたたえる前庭の風景」を記録した写真が多数あります。
- 最近報道された改修計画では「本館前庭の大きな池を芝生エリアへ改修」する旨が明記されています。 Impress Watch+2東京国立博物館+2
結論として、この“池”は少なくとも昭和期(おそらく本館竣工以降)には存在しており、長年にわたって“東博前庭の象徴的な水景”となっていたと考えられます。ただし「〇年〇月設置」といった明記は公開サイト上では確認できませんでした。
3.改修計画「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」について
池を含む前庭を改修し、より開かれた「芝生広場」へと変えるというプロジェクトが発表されました。以下、ポイントを整理します。
・プロジェクト名と目的
この改修は「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」という名称で発表され、同館が策定した「東京国立博物館 2038 ビジョン」の基盤となる1施策です。 東京国立博物館+1
目的としては、
- 「みんなが来たくなる博物館」の実現
- 子ども、学生、ファミリー、シニア、障がいのある方、外国の方など すべての人が快適・安全に過ごせる憩いの場 の創出
- 改修後にはコンサート・ビアガーデンなどイベント活用にも重きを置くこと 東京国立博物館 ドネーションサイト |+1
・改修内容・スケジュール
- 本館前庭にある「大きな池」を撤去し、既存のなだらかな高低差を活かして「芝生エリア」へ改修する計画。 Impress Watch+1
- 完成目標は 2027年3月。改修工事が順次進められます。 東京国立博物館+1
- 案内では、改修費用のための寄附受付も開始されており、ドネーションサイトで枠組みが整えられています。 東京国立博物館 ドネーションサイト |
・なぜ芝生広場へ?
- 池は美観や景観の魅力を担ってきましたが、利用者から「ベンチに座る」「ゴロ寝する」「ピクニックをする」などの“憩いの場”としての期待が高まっていたようです。
- 博物館として「展示を観る」だけでなく、「滞在時間を楽しむ」「屋外でのくつろぎ時間を持つ」ことへの転換も意識されています。
-芝生エリアなら、イベントや人との接点を増やせるほか、バリアフリーや動線整備の観点からもメリットがあります。
4.変化がもたらすもの & 注意点
・期待される効果
- より敷居が低い「寄り道スポット」に:池を眺めるだけでなく、芝生に寝転んだり、子どもが遊んだり、観覧後にそのままリラックスできる。
- イベント活用による博物館の新しい価値創出:屋外コンサート、ワークショップ、夜間イベントなど、多目的に使える。
- 上野公園との一体性向上:既存の“森・広場・文化施設”の連続として、博物館前庭が緑の延長として親しまれる。
- バリアフリー利用・多様なターゲット層受け入れ:芝生というフラットなスペースは、ベビーカー、車椅子、高齢者などに優しい。
・懸念・課題として
- 池をなくしてしまうことで、「建築×水景」がもたらす美的価値が失われるのでは、という声も出ています。実際、報道では「名物の池を芝生に埋め立てる計画への不満」も紹介されています。 ライブドアニュース+1
- 芝生の維持管理(雑草処理・水はけ・踏圧対応)やイベント時の混雑・夜間利用の安全確保が必要になります。
- 池撤去に伴う「水景の演出」「池越しに建物を眺める構図」の喪失。建築‐景観好きにとっては惜しい側面も。
- 改修工事中の動線や景観の一時的な変化、そして改修後の空間活用が期待通りに機能するかどうかが鍵。
5.まとめ&私見
上野の文化・美術の拠点である東京国立博物館の「池→芝生広場」への改修は、時代の変化を反映したランドスケープの転換と捉えられます。
美術館や博物館にとって、「展示」だけでなく「滞在」「体験」「出会い」の場を設けることがますます重要となる中、本プロジェクトはその象徴的な一歩といえるでしょう。
とはいえ、長年そこにあった“池”という水景が放つ静けさ・建築との対比・参観者の写真スポットとしての価値も決して小さいものではありません。私個人としては、改修後も「水を含む演出要素(例:水盤・小規模噴水など)」が部分的に残されると望ましいと感じます。
改修完成は2027年3月予定。これからの上野散策では「池があった場所」「芝生広場となった後の雰囲気」を比べて歩くのも面白いかもしれません。桜の時期、夏の夕暮れ、夜間イベントなど、時間帯を変えての訪問がおすすめです。


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