日本橋一丁目東地区の再開発とは?どこに何ができるのかを解説

都市・再開発

日本橋駅のすぐ東、永代通りと昭和通りが交わる江戸橋一丁目交差点の一帯で、2026年6月から解体工事が始まりました。「日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業」です。

このプロジェクトは、日本橋川沿いで進む再開発のなかでも区域面積約3.6ha・事業費約2,942億円と最大級。高さ200m超のビルが2棟同時に建つという、ツインタワー型の計画です。

しかも片方は約568戸のタワーマンション。日本橋の中心部にこれだけの規模の住宅が入るのは異例です。この記事では、どこに何ができるのかを整理します。

事業の基本情報

地図:OpenStreetMap/位置は概略です。街区範囲・首都高地下化ルートは模式的に表示しています。正確な区域は東京都都市整備局の公表資料をご確認ください。

項目内容
施行者日本橋一丁目東地区市街地再開発組合
所在地東京都中央区日本橋一丁目、日本橋本町一丁目、日本橋小網町
面積約3.6ha
事業費約2,942億円
住宅戸数約568戸
都市計画決定令和4年(2022年)3月
組合設立認可令和6年(2024年)4月

立地の条件が整理されています。東京メトロ・都営地下鉄の日本橋駅に隣接し、永代通りと昭和通りが交差する江戸橋一丁目交差点に接する交通利便性の高い場所です。

一方で、この地区には課題がありました。旧耐震基準の建物の割合が高いこと、そして日本橋川沿いの敷地に建物が隙間なく建てられ、市街地と水辺空間が分断されていることです。

つまりこの再開発は、「川沿いをふさいでいる古いビル群を、まとめて建て替える」事業でもあります。

どこに何ができるのか——5つの街区

この事業はA〜Eの5街区で構成されます。ここが理解の中心です。

街区延床面積用途できるもの
A街区約274,000㎡事務所、店舗、カンファレンス、駐車場等地上40階・高さ約203mのオフィスタワー
B街区約110,000㎡住宅、店舗、サービスアパートメント、生活支援施設等地上50階・高さ約210mのタワーマンション
C街区約50㎡公共・公益等日本橋川沿いの広場
D街区約150㎡公共・公益等日本橋川沿いの広場
E街区約250㎡公共・公益等日本橋川沿いの広場

数字の対比に注目してください。A街区が約274,000㎡なのに対し、C・D・E街区は約50〜250㎡。桁が3つ違います。

C〜E街区は建物というより、日本橋川に面した小さな公共空間です。日本橋の対岸にあたるこれらの区画は中央区が取得し、広場として整備される計画とされています。

つまりこの事業の構図は、

  • 陸側にツインタワー(A街区=オフィス、B街区=住宅)
  • 川側に小さな公共広場(C・D・E街区)

という配置です。日本橋川沿いの他の再開発とまったく同じ「川側は低く開く」という思想が、ここでも徹底されています。

現在の解体前の様子と、リバーウォーク全体の将来像がこちらです。

日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業 | 東京都都市整備局
高さ205mオフィスや高さ213mタワマン「日本橋一丁目東地区第一種市街地再開発事業」計画地の様子!日本橋郵便局は移転済み(2025.11.2 ...

1枚目が東京都都市整備局の公式イメージパースです。ツインタワーの構成が確認できます。

A街区:高さ約203mのオフィスタワー

陸側の主役がA街区です。

項目内容
規模地上40階・地下4階
高さ約203m
延床面積約274,000㎡
用途事務所、店舗、カンファレンス、駐車場等

注目はカンファレンス機能です。東京都はこの事業の目的に「都心型複合MICE拠点形成を支えるカンファレンスの整備」を挙げています。

日本橋川沿いの再開発では、東京ミッドタウン日本橋にも約1,600人収容のMICE施設が入ります。エリア全体でMICE拠点を形成するという方針があり、A街区のカンファレンスはその一翼を担う位置づけです。

この街区にはもう一つ特徴があります。敷地を東西に通り抜ける既存道路が、立体道路制度によって再開発後も残る計画です。道路の上空にビルが建つ形になります。

B街区:地上50階・約568戸のタワーマンション

もう一方の主役が住宅棟です。

項目内容
規模地上50階・地下3階
高さ約210m
延床面積約110,000㎡
住宅戸数約568戸
用途住宅、店舗、サービスアパートメント、生活支援施設等

高さはA街区より7m高い約210m。オフィス棟より住宅棟の方が背が高いという、珍しい構成です。階数も50階と40階で10階差があります。

東京都が掲げる目的の一つが「多様なニーズに対応した居住滞在環境の整備」です。分譲・賃貸の住宅に加えてサービスアパートメント(中長期滞在型)と生活支援施設が入るため、短期滞在から定住までを一棟でカバーする構成になります。

日本橋は金融関連企業の集積地です。外資系の駐在員やビジネス滞在者の受け皿という役割が明確に意識された計画と読めます。

なお現在、この街区にあった日本橋郵便局はすでに移転済みです。

この事業が担う4つの役割

東京都の資料では、この再開発の目的が明確に整理されています。

  1. 駅・まち・川をつなぐ歩行者基盤の整備
  2. 首都高速道路の地下化の実現に向けた協力
  3. 水辺の憩い広場の整備
  4. 都心型複合MICE拠点形成を支えるカンファレンスの整備
  5. 多様なニーズに対応した「居住滞在環境」の整備

特に2が重要です。区域内の一部を首都高の事業用地として提供し、さらに立体道路制度を活用して首都高の道路用地を確保するとされています。

日本橋室町一丁目地区が「敷地の地下にトンネルを通す」形で協力していたのに対し、この事業は用地そのものを提供する形で首都高地下化を支えているわけです。

スケジュール:完成は2038年度

この事業で最も驚くのがスケジュールです。

時期内容
2022年3月都市計画決定
2024年4月組合設立(事業計画)認可
2026年6月〜2028年3月A・B街区の既存建物39棟を解体(前田建設工業)
2026年6月〜2027年3月C・D街区の既存建物5棟を解体
2026年度権利変換計画認可(予定)
2028年度建築工事着工(予定)
2038年度建築工事完了(予定)

東京都の公表では建築工事完了が令和20年度=2038年度。都市計画決定から数えて16年がかりの事業です。

さらに川沿いのC・D・E街区は、首都高地下化工事の完成後に着工する必要があります。

解体の規模も桁外れで、A・B街区だけで既存建物39棟。個別の敷地に小さなビルが密集していた街区を、まとめて2棟の超高層に置き換えるという事業の性格がここに表れています。

まとめ

  1. 区域約3.6ha、事業費約2,942億円の大規模再開発
  2. A街区=地上40階・約203mのオフィス+カンファレンス
  3. B街区=地上50階・約210mのタワマン約568戸+サービスアパートメント
  4. C・D・E街区=日本橋川沿いの小さな公共広場(中央区が取得し整備)
  5. 区域の一部を首都高の事業用地として提供、立体道路制度も活用
  6. 解体は2026年6月〜2028年3月、既存建物39棟
  7. 着工2028年度・完成2038年度予定

日本橋川沿いの再開発群のなかで、この事業は「住む機能」を担当しています。オフィスと商業が集まるエリアに約568戸の住宅とサービスアパートメントを入れることで、昼間だけの街から24時間の街へ変えようという意図が読み取れます。

完成は12年後。いま見られる解体現場の光景こそが、この長い物語の第1章です。

よくある質問

Q. 日本橋一丁目東地区の再開発はいつ完成する?
東京都の公表では、建築工事の着工が2028年度、完了が2038年度の予定です。

Q. 何ができる?
A街区に地上40階・高さ約203mのオフィス+カンファレンス、B街区に地上50階・高さ約210mのタワーマンション(約568戸)とサービスアパートメント、C・D・E街区に日本橋川沿いの公共広場ができます。

Q. 場所はどこ?
東京都中央区日本橋一丁目、日本橋本町一丁目、日本橋小網町にまたがる約3.6haの区域です。東京メトロ・都営地下鉄日本橋駅に隣接し、江戸橋一丁目交差点に接しています。

Q. マンションは分譲される?
住宅戸数は約568戸と公表されていますが、分譲・賃貸の別や販売時期は2026年9月時点で公表されていません。

Q. 首都高の地下化とどう関係する?
区域内の一部を首都高の事業用地として提供し、立体道路制度を活用して道路用地を確保します。川沿いのC・D・E街区は地下化工事の完成後に整備される計画です。

出典

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