――なぜ批判が集まったのか、計画は変わるのか**

上野・国立科学博物館(科博)前に長年存在してきた大池(通称:カハク前の池)が、東京都のリニューアル計画で芝生広場へ転換される方針が示されました。
しかしこれに対し、専門家・地域住民・歴史ファン・建築関係者から強い批判が噴出しています。
本記事では、
- なぜ非難が集まっているのか
- 計画が変わる可能性はあるのか
- もし変わるなら、どのような手順でどのように変わるのか
をわかりやすく整理します。
1. なぜ批判が集まっているのか
- ① 歴史性の喪失:池は「上野公園の景観を象徴する存在」だった
- ② 生態系の喪失:池に依存する生物種の問題
- ③ 都市の気候緩和機能の喪失
- ④ 目的の不透明さ:「なぜ芝生なのか」の説明不足
- ⑤ 公共空間の意思決定の透明性の欠如
- ① 近年の東京都の大型プロジェクトは世論で変更された例が多い
- ② 池の撤去は「不可逆的」であり議論が慎重になりやすい
- ③ 科博自体も池の歴史的価値に言及しはじめている
- ④ 代替案が技術的に十分可能である
- ① 住民・専門家からの意見収集(パブリックコメントの再募集)
- ② 専門家会議での再審議
- ③ 設計者(ランドスケープアーキテクト)による代替案作成
- ④ 都市計画変更や予算再計上の手続き
- ⑤ 新方針の正式決定 → 工事計画の更新へ
- ① 池を縮小しつつ、水景を“象徴として残す”方向(可能性高め)
- ② 池を残しつつ、縁の一部を「親水空間」に改修
- ③ 芝生広場を見直し、低灌木や自然草地を増やす方向(改修案)
① 歴史性の喪失:池は「上野公園の景観を象徴する存在」だった
この池は明治期(1890年代)の博物館整備の一環として整備された歴史的景観の一部。
特に左右対称の軸線や、博物館正面へのアプローチとしての水景は上野公園のランドスケープデザインの重要要素でした。
「100年以上続く景観を芝生に変えるのか」という批判が根強いです。
② 生態系の喪失:池に依存する生物種の問題
池には水生植物、昆虫類、鳥類が多様に生息。
これを全面的に埋め戻すことで、生態系が破壊されることが懸念されています。
「上野動物園前で生物多様性に逆行するのか」という声も上がっています。
③ 都市の気候緩和機能の喪失
池は夏季に周辺の温度上昇を抑えるヒートアイランド緩和機能を持ちます。
芝生に転換すると、
- 水面→気化冷却が消失
- イベント利用で芝生が痛み、土壌温度が上昇
といった懸念から、都市環境的にも後退だと指摘されています。
④ 目的の不透明さ:「なぜ芝生なのか」の説明不足
東京都側は
- 「憩いの場を広げる」
- 「集客を高める」
などを理由にしますが、
「なぜ池を壊す必要があるのか?」
「池と芝生広場を両立できる設計ではだめなのか?」
といった住民の疑問に十分答えていない点も批判の中心です。
⑤ 公共空間の意思決定の透明性の欠如
計画の決定が
- 専門家委員会の議論が少ない
- パブリックコメントが実質的に反映されていない
- 住民説明会も十分とは言えない
など、民主的プロセスの弱さが問題視されています。
2. 計画が変わる可能性はあるのか?
結論:変わる可能性は十分にあると言えます。
理由は以下の通りです。
① 近年の東京都の大型プロジェクトは世論で変更された例が多い
例:
- 神宮外苑再開発の樹木伐採計画 → 見直しへ
- 上野動物園・西園の整備方針 → 市民意見で修正
世論の強い反発があれば、東京都は計画修正を行う前例があります。
② 池の撤去は「不可逆的」であり議論が慎重になりやすい
土地を掘り返す・埋める行為は元に戻せないため、
行政は批判が強まり続けた場合計画の一時停止や再検討を行う可能性が高いです。
③ 科博自体も池の歴史的価値に言及しはじめている
専門家・博物館関係者からの批判が強く、
科博内部にも「再検討すべきでは」という声があると報じられています。
博物館側が反対に回ると、計画は大きく揺らぎます。
④ 代替案が技術的に十分可能である
- 池を縮小しつつ周囲に芝生を設ける
- 自然池+憩いの広場のハイブリッド案
- 立体的な水景を加える案
など、設計者から「より良い折衷案」が複数提示されています。
行政が「代替可能」と判断すれば容易に見直せます。
3. 計画が変わるとしたら、どのような手順を踏むのか?
計画変更のプロセスは、以下のステップが一般的です。
① 住民・専門家からの意見収集(パブリックコメントの再募集)
東京都は批判が大きい場合、
✔ パブリックコメントの再募集
✔ オンライン説明会
✔ 現地説明会の追加
など、再度の意見集約を行うことがあります。
この段階で代替案が多数提出されると計画は揺らぎます。
② 専門家会議での再審議
ランドスケープ、都市計画、生態学の専門家が集まり、
- 池の歴史性
- 生態系への影響
- 芝生の利用計画
- 耐久性・運営コスト
- イベント需要との両立
などを再度検証します。
ここで「池の保存が妥当」という結論が出れば大きく方向転換します。
③ 設計者(ランドスケープアーキテクト)による代替案作成
行政が方向転換を示した場合、次に行うのは、
✔ 芝生広場案の修正
✔ 池+広場のハイブリッド案
✔ 池の規模のみ縮小案
✔ 池を現代的に再整備する案
などの複数のプラン作成です。
市民意見を踏まえたコンペ形式にするケースもあります。
④ 都市計画変更や予算再計上の手続き
計画が変わると、
- 都市計画手続き
- 予算の再審査
- 工事スケジュールの組み直し
などが必要ですが、これは半年〜1年程度で十分可能です。
⑤ 新方針の正式決定 → 工事計画の更新へ
最終的に東京都が新しい設計案を承認すれば、
新たなスケジュールで工事が進むことになります。
4. 今後どのように変わる可能性が高い?(予測)
批判の高まりと代替案の存在を踏まえると、
最もあり得る方向性は以下の3つです。
① 池を縮小しつつ、水景を“象徴として残す”方向(可能性高め)
- 中央の軸線を強調
- 水生植物や野鳥の生息スペースを確保
- 周囲を芝生広場として整備
都市デザイン的にもバランスがよく、世論も受け入れやすい。
② 池を残しつつ、縁の一部を「親水空間」に改修
- 水盤テラス
- ミスト散水装置
- 水辺デッキ
など、現代的な憩いの機能を追加する案。
生態系も維持しやすい。
③ 芝生広場を見直し、低灌木や自然草地を増やす方向(改修案)
完全に芝生とするのではなく、
- 植生の多様化
- イベント利用に強い舗装帯の併設
- 微地形を加えて熱環境を改善
といった改善策も十分考えられます。
まとめ
なぜ批判が集まっているのか?
→ 歴史性・生態系・都市環境・説明不足・意思決定プロセスへの不信。
計画が変わる可能性は?
→ 世論・専門家の反発・代替案の存在から「十分にある」。
変わるとしたら?
→ パブコメ再募集 → 専門家会議再審議 → 代替案作成 → 都市計画・予算再手続き → 新計画へ。
総合的に見て、
池を完全に廃止する案は縮小・再整備へと修正される可能性が高いと言えます。


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