— 空港 × 研究開発 × 商業 × 文化を融合した「次世代スマートシティ」


羽田空港に隣接した 約5.9haの大規模複合開発エリア。
2020年プレオープン、2023〜2024年にかけて段階的に本格稼働が進む、東京湾岸の“最先端まちづくり”である。
■ ① 羽田イノベーションシティの位置づけ
✔ 空港直結のイノベーションハブ
京急「天空橋駅」と直結し、
国際線ターミナル(T3)へもアクセス至近。
「日本の玄関口 × 国際ビジネス × R&D × 商業・文化体験」
という、日本では珍しい都市構造。
✔ 目的は“観光 × ビジネス × 研究”の融合
テナントの多くは
- ロボティクス
- eVTOL(空飛ぶクルマ)
- バイオヘルスケア
- メディア・クリエイティブ
など、未来産業系企業で占められる。
さらに、アリーナ・温浴施設・飲食・和文化体験まで揃う、羽田の新しい観光拠点でもある。
■ ② 主な施設構成(要点)


● Zone A-F:研究開発・オフィス
スタートアップ、空飛ぶクルマ開発企業、医療×AI分野などが入居。
羽田という“国際ゲートウェイ”を活かし、世界企業との協業も狙う。
● Zone H:ライブエンタメ施設(Zepp Haneda)
国内最大級の音楽ライブハウス規模。空港直結の新しい“音楽都市”機能。
● Zone J:足湯スカイデッキ・展望広場
飛行機を眺めながら入れる“空港足湯”はSNSでも人気。
● Zone K:温浴施設・飲食エリア
旅の前後に使えるラウンジのような構造で、観光客の滞在時間を延長する仕掛け。
■ ③ 羽田イノベーションシティが注目される理由
✔ 世界にも珍しい「空港都市(Airport City)」モデル
従来の空港は“交通インフラ”に過ぎなかったが、
羽田は 都市・産業・観光が合体したハイブリッド都市を目指している。
✔ 未来産業の“実証実験都市”
ドローン配送、自動運転、空飛ぶクルマ、スマートセキュリティ…
新技術を空港隣接地で本格運用できる稀有なフィールド。
✔ 国・東京都・大田区が共同で推す国家プロジェクト
復興特区・国家戦略特区の枠組みで開発された“国策都市”。
■ ④ 一方で課題も多い(都市計画・商業・動線)



❌ 1. 来訪者数が想定より伸びていない
プレオープン後、
「平日は人が少ない」「商業エリアが閑散」という指摘が多い。
理由は
- 羽田空港のメイン動線から外れている
- 空港利用者が“わざわざ寄る導線”ではない
- 研究開発系施設は一般来訪者が利用しにくい
- 商業テナントの数が少なく“街としての厚み”が弱い
など。
❌ 2. 建築配置が複雑で“街のまとまり”が弱い
敷地が南北に長く、区画が分散しているため
回遊性が低く、ショッピング動線が成立しにくい。
❌ 3. 駅周辺のにぎわいが限定的
天空橋駅は便利だが、ゆっくり歩く人の流動が少ないため
“滞留して賑わう街”になりにくい。
❌ 4. 観光施設としての目的性が弱い
- 「空港のついでなら良いが、わざわざ行く理由が弱い」
- 都心から遠く、商業テナントも少ない
という声が多い。
■ ⑤ 建築 × 不動産視点からの評価
■ ポジティブ
- 空港都市としてのブランド価値が高い
- 研究開発拠点としての希少性
- 国際ビジネスのゲートウェイになれる可能性
■ ネガティブ
- 商業動線が弱く、低温期に閑散しがち
- 商業エリアが細かく、都市としての“厚み”が不足
- コンセプトが広すぎて、一般来訪者には伝わりにくい
■ ⑥ 羽田イノベーションシティ“成功の条件”
HICityを本格稼働させるには、以下の施策が有効と考えられる。
✔ 1. 空港との連結動線をもっと強化
- T3〜HICity間のシャトル増便
- 動く歩道・デッキ直結
- 旅行者の“最後の観光地”として機能させる
✔ 2. 目的性の高いイベント/観光コンテンツ
- 国際カンファレンス
- eスポーツ
- 音楽フェス
- テクノロジー見本市
→ 「HICityに行く目的」をつくる必要がある。
✔ 3. 商業テナントの強化
今は飲食・物販が薄いため、
滞在時間が短くなる構造を変えることが必須。
✔ 4. “羽田ブランド”の強化
- 飛行機を眺める体験
- 空港×温泉×屋上デッキ
- 航空系ミュージアム
羽田という立地を最大限活用すべき。
■ ⑦ 総括:羽田イノベーションシティは「未完成の都市実験場」
羽田イノベーションシティは、
都市 × 空港 × 技術 × 文化 を合体させる国家的プロジェクト。
しかし現状は、
- 動線・商業・にぎわい形成に課題
- 来訪者の目的性が弱い
- “街としての厚み”がまだ十分ではない
という“未完成都市”である。
一方で、
- 空港横の立地
- 国家戦略特区
- 最先端企業の集積
という強みから、今後の発展余地は大きい。
完成形はまだ見えていないが、
“未来都市の実験フィールド”としての価値は高い。

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