— 北海道最初の本格アウトレットが抱えた課題と再生へのヒント

- ■ ① 千歳アウトレットモール・レラとは?
- 🟦 屋外型オープンモール
- 🟩 空港アクセス至近
- 🟧 アウトレット×地域性
- ✔ 1. 空港に最も近いアウトレット
- ✔ 2. 土地が広くレイアウトの自由度が高い
- ✔ 3. 周辺に競争相手が少なかった
- ❌ 1. 北海道で「屋外型」は天候リスクが大きい
- ❌ 2. 新千歳空港の拡張・商業強化
- ❌ 3. 千歳駅周辺・札幌圏の商業競争の激化
- ❌ 4. インバウンド依存の高さ
- ❌ 5. 施設の老朽化・テナント構成の魅力低下
- 🔹 テナント数はピーク時の約半数規模に減少
- 🔹 2024年から段階的に再生プロジェクトが進行
- ✔ 観光地型アウトレットとして再定義
- ✔ 天候対応のため「半屋内化」やキャノピー増設
- ✔ 北海道観光の“出国前の最後の買い物場所”戦略
■ ① 千歳アウトレットモール・レラとは?
2005年開業の北海道初の大型アウトレットモール。
新千歳空港から車で約10分、JR南千歳駅から徒歩3分というアクセスの良さを武器に誕生した。
開業当初は“北海道らしい屋外型ショッピングモール”として人気を集め、
国内外観光客、特に中国・台湾などインバウンド客の利用が多かった。
■ ② 特徴
🟦 屋外型オープンモール
北海道の広々とした空気感を活かし、散策しながら買い物できる。
🟩 空港アクセス至近
- 飛行機までの待ち時間に立ち寄る
- 空港〜ホテルの移動の途中で寄る
という利用が多かった。
🟧 アウトレット×地域性
北海道の土産店、アクティビティ施設も併設するなど“観光地型アウトレット”に近い構造。
■ ③ 強み
✔ 1. 空港に最も近いアウトレット
これは全国でも珍しい立地戦略。
インバウンド需要の大波に乗り、2010年代前半は絶好調だった。
✔ 2. 土地が広くレイアウトの自由度が高い
テナントの入れ替えや増設が比較的容易な構造。
✔ 3. 周辺に競争相手が少なかった
開業当初、北海道にアウトレットはほぼ存在せず、圧倒的シェア。
■ ④ 課題(なぜ苦戦が深まったのか?)


❌ 1. 北海道で「屋外型」は天候リスクが大きい
- 冬は極寒
- 風が強く吹雪も多い
- 雨天・強風時は歩けない
→ 年間の快適利用期間が極端に短い。
❌ 2. 新千歳空港の拡張・商業強化
空港ターミナル自体が巨大ショッピングセンター化。
→ 「空港で完結できる」構造に変化し、レラの立ち寄り価値が低下。
❌ 3. 千歳駅周辺・札幌圏の商業競争の激化
- 札幌市内の商業施設の強化
- 北広島のエスコンフィールド開業で観光動線が変化
→ 千歳へ来る必然性が減った。
❌ 4. インバウンド依存の高さ
レラは国内客よりも観光客依存度が高かったため、
コロナ禍で来場者が激減し、
- 大量閉店
- 空き区画増加
- モールの活気低下
という深刻な打撃を受けた。
❌ 5. 施設の老朽化・テナント構成の魅力低下
開業から20年近く経ち、
「ブランド価値」より
「ワゴンセール感」が強まってしまい、
わざわざ行く価値が弱まった。
■ ⑤ 現在(2024〜2025)の状況
🔹 テナント数はピーク時の約半数規模に減少
観光需要の回復に比して、テナント回復が追いついていない。
🔹 2024年から段階的に再生プロジェクトが進行
- 新規飲食店の誘致
- 北海道ローカルブランドの強化
- アウトドア系体験施設の導入
など、観光地アウトレットとしての再ポジショニングを模索。
■ ⑥ レラの“構造的な弱点”を建築×不動産視点で整理すると…
| 視点 | 内容 |
|---|---|
| 建築計画 | 屋外型動線が北海道の気候に合わない |
| ロケーション | 空港が強すぎて競合になってしまった |
| テナント構成 | ブランド価値が弱くなり「アウトレットとしての吸引力」が低下 |
| 都市動線 | 北広島・札幌への観光流動が増え、千歳に集客しづらい |
| 経営戦略 | インバウンド依存が高すぎた |
アウトレットの成功条件
①交通利便性
②ブランドの厚み
③館内回遊の快適さ
④施設の新鮮さ
をすべて維持し続けるのは難しく、レラは②③④が弱まったことで苦戦が深まった。
■ ⑦ レラ復活の方向性(提案)
✔ 観光地型アウトレットとして再定義
新千歳空港の補完機能として
- 体験型
- 暮らし系ローカルブランド
- 北海道文化発信
への転換が有望。
✔ 天候対応のため「半屋内化」やキャノピー増設
屋根付き動線を増やすことが、冬の集客に直結する。
✔ 北海道観光の“出国前の最後の買い物場所”戦略
空港にある免税店との差別化が必須。
- 大型アウトドア
- 北海道限定品
- 体験・ワークショップ
は相性が良い。
■ 📝 まとめ
千歳アウトレットモール・レラは
「初期の成功 × 立地の強み」からスタートしながら、
「天候 × 空港商業化 × インバウンド依存」
によって苦戦した典型的なアウトレットモール。
しかし、空港至近の立地は全国でも唯一無二で、
観光型アウトレットとして再生できる余地は十分ある。


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