🛍️気候に適さない建築 千歳アウトレットモール・レラ 総まとめ

欠陥建築

— 北海道最初の本格アウトレットが抱えた課題と再生へのヒント

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■ ① 千歳アウトレットモール・レラとは?

2005年開業の北海道初の大型アウトレットモール。
新千歳空港から車で約10分、JR南千歳駅から徒歩3分というアクセスの良さを武器に誕生した。

開業当初は“北海道らしい屋外型ショッピングモール”として人気を集め、
国内外観光客、特に中国・台湾などインバウンド客の利用が多かった。


■ ② 特徴

🟦 屋外型オープンモール

北海道の広々とした空気感を活かし、散策しながら買い物できる。

🟩 空港アクセス至近

  • 飛行機までの待ち時間に立ち寄る
  • 空港〜ホテルの移動の途中で寄る

という利用が多かった。

🟧 アウトレット×地域性

北海道の土産店、アクティビティ施設も併設するなど“観光地型アウトレット”に近い構造。


■ ③ 強み

✔ 1. 空港に最も近いアウトレット

これは全国でも珍しい立地戦略。
インバウンド需要の大波に乗り、2010年代前半は絶好調だった。

✔ 2. 土地が広くレイアウトの自由度が高い

テナントの入れ替えや増設が比較的容易な構造。

✔ 3. 周辺に競争相手が少なかった

開業当初、北海道にアウトレットはほぼ存在せず、圧倒的シェア。


■ ④ 課題(なぜ苦戦が深まったのか?)

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❌ 1. 北海道で「屋外型」は天候リスクが大きい

  • 冬は極寒
  • 風が強く吹雪も多い
  • 雨天・強風時は歩けない
    → 年間の快適利用期間が極端に短い。

❌ 2. 新千歳空港の拡張・商業強化

空港ターミナル自体が巨大ショッピングセンター化。
→ 「空港で完結できる」構造に変化し、レラの立ち寄り価値が低下。

❌ 3. 千歳駅周辺・札幌圏の商業競争の激化

  • 札幌市内の商業施設の強化
  • 北広島のエスコンフィールド開業で観光動線が変化
    → 千歳へ来る必然性が減った。

❌ 4. インバウンド依存の高さ

レラは国内客よりも観光客依存度が高かったため、
コロナ禍で来場者が激減し、

  • 大量閉店
  • 空き区画増加
  • モールの活気低下
    という深刻な打撃を受けた。

❌ 5. 施設の老朽化・テナント構成の魅力低下

開業から20年近く経ち、
「ブランド価値」より
「ワゴンセール感」が強まってしまい、
わざわざ行く価値が弱まった。


■ ⑤ 現在(2024〜2025)の状況

🔹 テナント数はピーク時の約半数規模に減少

観光需要の回復に比して、テナント回復が追いついていない。

🔹 2024年から段階的に再生プロジェクトが進行

  • 新規飲食店の誘致
  • 北海道ローカルブランドの強化
  • アウトドア系体験施設の導入
    など、観光地アウトレットとしての再ポジショニングを模索。

■ ⑥ レラの“構造的な弱点”を建築×不動産視点で整理すると…

視点内容
建築計画屋外型動線が北海道の気候に合わない
ロケーション空港が強すぎて競合になってしまった
テナント構成ブランド価値が弱くなり「アウトレットとしての吸引力」が低下
都市動線北広島・札幌への観光流動が増え、千歳に集客しづらい
経営戦略インバウンド依存が高すぎた

アウトレットの成功条件
①交通利便性
②ブランドの厚み
③館内回遊の快適さ
④施設の新鮮さ
をすべて維持し続けるのは難しく、レラは②③④が弱まったことで苦戦が深まった。


■ ⑦ レラ復活の方向性(提案)

✔ 観光地型アウトレットとして再定義

新千歳空港の補完機能として

  • 体験型
  • 暮らし系ローカルブランド
  • 北海道文化発信
    への転換が有望。

✔ 天候対応のため「半屋内化」やキャノピー増設

屋根付き動線を増やすことが、冬の集客に直結する。

✔ 北海道観光の“出国前の最後の買い物場所”戦略

空港にある免税店との差別化が必須。

  • 大型アウトドア
  • 北海道限定品
  • 体験・ワークショップ
    は相性が良い。

■ 📝 まとめ

千歳アウトレットモール・レラは
「初期の成功 × 立地の強み」からスタートしながら、
「天候 × 空港商業化 × インバウンド依存」
によって苦戦した典型的なアウトレットモール。

しかし、空港至近の立地は全国でも唯一無二で、
観光型アウトレットとして再生できる余地は十分ある。

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