


渋谷区×駅徒歩4分×大規模タワー。
条件だけ見ると“強い”マンションに見えます。
しかし パークタワー渋谷笹塚 は
普通の所有権タワマンとは評価軸が異なります。
理由は
「定期転借地権」+「大規模実需タワー」 という特殊な組み合わせです。
この記事では、建築と不動産の両面から
“どこに何が現れているのか”を具体的に読み解きます。
1. 建築の視点:外装
意匠 ― 遠景ではなく到着体験を作るタワー




この建物はスカイラインで目立つタイプではありません。
代わりに 低層部の密度で価値を作る設計 です。
象徴が
- 約2層吹抜のエントランス
- 水や緑をテーマにした基壇部
つまり
「駅→建物に入る体験」そのものをブランド化する都市型タワー です。
湾岸のような“遠景の映え”とは評価軸が違います。
特に基壇部は、上に向かって広がりを見せる壁柱が木のような存在感を放ち、あくまでも森の続きであることを主張しています。
構造 ― 間取りに効く制震構造

この物件は大林組の制震システムを採用しています。
ポイントは安全性だけではありません。
- 柱梁を減らす
- ワイドスパン化
- 家具配置の自由度
つまり構造が
住戸の使いやすさに直接効くタイプのタワー です。
センターコア型というエレベーターや水道設備、ボイラー室や機械室などの構造の堅いコア部を中央に配置することで建物の軸を確立し、周りを柔らかな構造で囲うという、五重塔のような面白い構造をしています。
環境性能 ― ZEH-Mは何を意味するか
省エネ性能(ZEH-M Oriented)は
単なる環境配慮ではありません。
戸数659戸の大規模では
ランニングコスト=資産性に直結します。
この物件は
豪華設備より“維持費の設計”を重視した方向性
のタワーです。
設備 ― 外装に現れる“見えない性能”
- Low-Eガラス
- 多重セキュリティ
- 内廊下空調
これらは見た目の豪華さではなく
都市生活のストレスを減らす設備 です。
外構 ― 開くが守る




敷地は街に開かれています。
その代わり建物内部のセキュリティが強化されています。
これは
都市一体型タワーの典型的な思想 です。
施工 ― 大規模タワーの特徴
大林組施工+大規模プレキャスト。
メリット
→ 品質の均一化
デメリット
→ 工期が長く市況の影響を受ける
維持管理 ― “住み心地”を支える部分
この物件の特徴は
各階ゴミ置場・宅配動線・防災倉庫。
つまり
毎日の生活負担を減らす設計に振っているタワー
です。
2. 建築の視点:内装
意匠 ― 共用部が第2のリビング


ラウンジ・ワークスペースが大きい。
これは豪華さではなく
住戸面積を共用で補う設計
です。
大規模タワーだから成立します。
別荘のようなゆとりと落ち着きがあるデザインが特徴です。
二層吹き抜けだからと言って豪華絢爛な造りというわけではなさそうです。
構造 ― 体感面積を作るワイドスパン

柱の少ない構造 → 家具配置自由度↑
同じ70㎡でも
使いやすさが変わるタイプです。
環境性能 ― 上層ほど価値が上がる設計
- 天井高差
- サッシ高差
プレミアム階の価値が
理屈で説明できる設計です。
特色ある設備 ― 実需向けの標準装備
- ディスポーザー
- 食洗機
- 床暖房
- 石天板
投資用ではなく
住むための設備構成 です。

またスケルトンインフィルという、配管類が居住スペース外に出る設計も部屋を広く見せる設備です。
維持管理 ― 大規模のメリットと宿命
メリット
→ 管理費効率
デメリット
→ 合意形成が重い
3. 不動産の視点
立地 ― “生活利便型”の強さ
笹塚駅徒歩4分+商業地域+高台。
タワマンの中では
日常生活の利便性が価値の中心 です。
経済性 ― 最大の特徴「定期転借地権」
この物件を理解するうえで最重要ポイントが
「定期転借地権」です。
マンションの権利は大きく3種類あります。
| 権利 | 土地 | 建物 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 自分 | 自分 | なし |
| 借地権 | 他人 | 自分 | 更新あり |
| 定期借地権 | 他人 | 自分 | 更新なし |
| 定期転借地権(本物件) | 土地所有者→デベ→購入者 | 自分 | 更新なし |
この物件の仕組み
本物件は
土地所有者
→ 三井不動産(借りる)
→ 購入者(さらに借りる)
という 「又貸し構造」 になっています。
つまり購入者は
土地を所有していません。
そして最大の特徴は
期間満了で必ず終了する 点です。
期間満了時に起きること
- 建物を解体
- 更地にして返還
- 更新不可
- 買取請求不可
つまり
資産として永久に持つことはできません。
その代わりに何が起きるか
メリット
- 価格が所有権より抑えられる傾向
- 都心立地に住みやすい
デメリット
- 残存年数で資産価値が下がる
- 毎月の地代が発生
- 解体費積立が必要
この物件で重要な見方
定期転借地権マンションは
「買う不動産」ではなく
長期利用サービスに近い住宅
として考えると理解しやすくなります。
値上がりを期待する商品ではなく
居住価値を使い切る商品です。
特徴
- 価格は抑えられやすい
- しかし毎月固定費が発生
- 期間満了で更地返還
つまり
所有ではなく利用に近い資産 です。
時間的要素 ― 街が完成する途中
再開発街区のため
完成後も評価が変動しやすい。
渋谷は再開発完成のめどが立っているため、十年ほどで価値が定まってくる
開発会社 ― 安定志向の組み合わせ
三井不動産レジ+大林組
→ 尖りより堅実性
4. 総合評価
強み
- 駅近生活利便
- 間取りの使いやすさ
- 日常ストレスを減らす設計
- 大規模の管理効率
弱み
- 定借による出口制約
- 固定費の存在
- 周辺環境の変化影響
- 大規模特有の意思決定の遅さ
結論
この物件は
値上がり期待のタワマンではありません。
都市生活の快適性を長期利用する住宅
として設計されたタワーです。
都心型タワマンの記事はこちら
参考文献
- 公式物件概要・品質資料
- 不動産ニュースリリース
- 建築学会 集合住宅計画指針
- 都市再開発関連資料



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