Tokyo Sky Corridorとは?旧KK線が2kmの空中歩行者空間に変わる計画を解説

都市・再開発

銀座を囲むように走っていた高架道路「KK線(東京高速道路)」。2025年4月5日20時をもって、約60年の歴史に幕を下ろしました。

廃止された高速道路は、普通なら解体されます。ところが東京都と東京高速道路株式会社が選んだのは「壊さずに歩行者空間として再生する」という道でした。

それが「Tokyo Sky Corridor(東京スカイコリドー)」です。全長約2kmの高架が、銀座の上空を巡る歩行者回廊に生まれ変わります。この記事では、歩行者空間がどう変わるのかを整理します。

KK線とは何だったのか

地図:OpenStreetMap/ルートは概略です。幅員区分・視点場・縦動線の位置は東京都の公表資料をもとにした模式表示で、確定した配置ではありません。

まず前提を押さえます。

項目内容
正式名称東京高速道路(通称KK線)
開通1959年(全線開通1966年)
全長約2km
ルート銀座・新橋・京橋エリアを囲むように周回
構造の特徴高架下の賃貸スペースの上部と13の橋がつながって道路になっている
廃止2025年4月5日20時(東銀座出口を除く)

KK線は特殊な道路でした。高架下にテナントビルがあり、その屋根が道路になっているという構造。通行料金が無料だったのも、この賃貸収入で運営されていたためです。

なぜ廃止されたのか。首都高の日本橋区間地下化に伴い、新たに新京橋連結路が整備されることで交通機能が低下するためです。道路としての役割を、地下の新ルートに譲った形になります。

KK線の高架が今どうなっているかがこちらです。

東京高速道路(㏍線)から「空中回廊」へ。 | 青木かのオフィシャルブログ「月島日記-TSUKISHIMA DIARY-」Powered by ...
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歩行者空間はどう変わるのか

東京都の方針では、KK線上部空間を「緑豊かな歩行者空間」として整備するとされています。ポイントは3つです。

① 約2kmの連続した空中回廊

全長約2kmの線的で連続性のある空間を、車中心から人中心の公共的空間として整備します。

しかも既存の高架施設の形態(壁面線など)を活かす方針です。つまり今の高架の形をそのまま使う。これにより上部空間の連続性と規模を確保しつつ、既存の街並みの継承も図るとされています。

「壊して作り直す」のではなく「そのまま用途を変える」——ニューヨークのハイラインと同じ発想ですが、規模と都心性でははるかに上です。

② 幅員によって性格を変える「メリハリ」

KK線の高架は、場所によって幅が違います。その違いを活かす方針が明確に示されています。

幅員整備内容
約16m以上の区間歩行者の通行空間+にぎわいのための広場などの滞留空間
それ以外の区間歩行者の通行空間
晴海通り等の主要道路との交差部付近まちを眺めることができる視点場

「視点場」という言葉が出てくるのが面白いところです。交差点の上から銀座の街並みを見下ろす——これまで車でしか通れなかった視点が、歩行者に開放されます。

③ 縦方向の動線で地上とつながる

空中回廊が孤立しては意味がありません。そこで縦方向の動線が整備されます。

  • KK線上部空間と地上等を階段・エレベーター等でつなぐ
  • 主要な道路、地下の歩行者空間、駅からのアクセスを勘案して配置
  • 汐留側の歩行者デッキとの接続も調整
  • 隣接する既存建物とのデッキレベルでの接続も調整

つまり地下 → 地上 → 空中回廊という重層的な歩行者ネットワークが形成されます。銀座という街が、水平方向だけでなく垂直方向にも回遊できるようになるわけです。

「Roof Park Project」という進め方

2025年4月18日、「KK線リボーンセレモニー」——車のための空間から人のための空間への交代式——が開催され、再生プロジェクトの名称が発表されました。

「Roof Park Project(ルーフパーク プロジェクト)」
コンセプトは「みんなでゆっくりつくる未来」

この「ゆっくり」には明確な意図が込められています。60年以上の歴史を持つ既存施設の再生だからこそ、様々な人と関わり会話を重ね、解像度の高い計画・デザイン・実行というプロセスを踏みながら丁寧に進めるべきだという考え方です。

そして供用開始後も完成形はない——様々な人の手垢をつけてつくっていくことで、愛着をもって進化し続ける。その理想が「ゆっくりつくる」という表現に込められています。

プロジェクトの特徴は3つ挙げられています。

  1. 都市スケールの既存インフラを再生し、新しい価値を提供する
  2. 民間と東京都の公民連携で事業を推進し、「共創的公共」のあり方を模索
  3. 計画・整備の段階から多様な人々と関わり、共創する

上部の歩行空間だけでなく、下部の商業施設や周辺のまちとの連携も一緒に考えるのがこのプロジェクトの特徴です。高架下のテナントも含めて再生する——KK線の特殊な構造を逆手に取った発想です。

すでに始まっている「実験」

面白いのは、完成を待たずに使い始めている点です。

2025年・2026年と、「Roof Park Fes & Walk」という一般参加イベントが開催されました。廃止されたKK線の本線上を実際に歩けるイベントです。

開催日内容
2025年4月18〜19日リボーンセレモニー、モーニングマラソン、ウォーク
2026年4月25〜26日ラン・ヨガ、ウォーク、ライブ&シネマ

さらに実績として、世界陸上の前夜祭でKK線を走るイベントデフリンピックのマラソン競技の公式コースとしての活用も報告されています。

東京高速道路の担当者は、技術検証と社会検証の2本柱で先行実証実験を進めていると説明しています。

完成前に使ってみて、その結果を設計に反映する。これは日本の大規模インフラ整備ではかなり珍しいアプローチです。

経緯とこれから

時期できごと
1959年KK線開通
1966年全線の道路としての通行を開始
2021年3月東京都が**「東京高速道路(KK線)再生方針」**を策定
2022年3月事業化に向けた方針(中間まとめ)
2023年KK線を歩くイベントの開催開始
2025年4月5日KK線 廃止(東銀座出口を除く)
2025年4月18日リボーンセレモニー、Roof Park Project発表
2025年4月東京都・東京高速道路が利活用方針を公表
2040年ごろ空中歩行者回廊としての姿へ(首都高地下化の完了時期と連動)

整備主体は、現行の管理運営スキームを継承し、施設所有者である東京高速道路株式会社が整備するのが基本。ただし一部区間は周辺まちづくりと連携し、開発事業主体が整備することも可能とされています。

まとめ:東京の歩行者空間はどう変わるか

  1. 廃止された全長約2kmのKK線高架が、歩行者中心の公共的空間へ
  2. 既存の高架の形をそのまま活かす——壊さず再生
  3. 幅員16m以上の区間には広場、交差部付近には視点場
  4. 階段・エレベーターによる縦方向の動線で地上・地下とつながる重層ネットワーク
  5. 汐留側の歩行者デッキや隣接建物ともデッキレベルで接続
  6. プロジェクト名は「Roof Park Project」、コンセプトは「みんなでゆっくりつくる未来」
  7. 完成前から歩くイベントで実証を重ねる進め方

日本橋では高架を地下に落とし、銀座では高架を歩道に変える。同じ首都高の再編から、正反対の解が2つ生まれたわけです。

そして東京の都心は、丸の内仲通り、大手町の仲通り散歩橋、日本橋リバーウォーク、そしてTokyo Sky Corridorと、歩いて回れる軸が次々に増えています。車のための都市から、歩くための都市へ。その転換が最も象徴的に表れているのが、この2kmの高架です。

よくある質問

Q. Tokyo Sky Corridorはいつ歩けるようになる?
全体の完成時期は確定していません。首都高日本橋区間の地下化完了(2040年度)と連動するため、2030年代から2040年ごろにかけて段階的に整備が進む見込みです。現在は年1回程度のイベントで一般開放されています。

Q. KK線はなぜ廃止された?
首都高の日本橋区間地下化に伴い新京橋連結路が整備され、交通機能が低下するためです。2025年4月5日20時に廃止されました(東銀座出口を除く)。

Q. 高架は解体されない?
解体されません。既存の高架施設の形態を活かして、上部空間を歩行者空間として再生する方針です。

Q. 高架下の店はどうなる?
「Roof Park Project」では上部の整備だけでなく、下部の商業施設や周辺のまちとの連携も一緒に考えるとされています。

Q. Roof Park Projectとは?
東京高速道路株式会社が実施するKK線再生の取組の名称です。2025年4月18日のリボーンセレモニーで発表され、コンセプトは「みんなでゆっくりつくる未来」です。

出典

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