新宿駅西口地区開発計画とは?小田急百貨店本店跡地に260mビル、駅と街はどう変わるのか解説

都市・再開発

新宿駅西口の顔だった小田急百貨店新宿店本館は、2022年10月2日に閉店しました。1967年の開業から55年。西口広場とともに新宿西口の風景そのものだった建物です。

その跡地で建設が進んでいるのが「新宿駅西口地区開発計画」。地上48階・高さ約260mの超高層ビルで、東京都庁(約243m)を超える高さになります。

ただしこの計画の本質は、ビルの高さではありません。新宿駅の上に建ち、駅の改札・広場・通路を一緒に作り替える——東京都と新宿区が進める「新宿グランドターミナル構想」の中核となる事業です。

この記事では、何ができて、新宿駅と西口がどう変わるのかを整理します。

事業の基本情報

地図:OpenStreetMap/位置・範囲は概略です。建物・広場・改札・動線の位置は公表資料をもとにした模式表示です。工事中の動線は東京都「新宿駅直近地区工事情報ポータル」で最新情報をご確認ください。情報は2026年9月時点。

項目内容
計画名新宿駅西口地区開発計画
所在地東京都新宿区西新宿一丁目(旧・小田急百貨店新宿店本館ほか)
事業主体小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産
規模地上48階・地下5階/最高高さ約260m(建築計画上 258.18m)
延床面積約278,906㎡
用途高層部:オフィス/中低層部:商業/中間階:ビジネス創発機能
設計日本設計・大成建設JV
施工大成建設
着工2024年(新築工事)
竣工2029年度(建築計画上は2030年3月下旬)
認定国土交通大臣による優良な民間都市再生事業計画(2024年6月)

事業主体に鉄道会社が2社入っているのがポイントです。小田急は小田急線新宿駅、東京メトロは丸ノ内線新宿駅を、この建物の直下・直近に持っています。駅と建物を一体で作り替えるための体制です。

解体された3つの建物

敷地には、以下の建物がありました。順番に解体しながら、並行して新築工事を進める工程です。

建物営業終了
小田急百貨店新宿店本館2022年10月2日
モザイク通り2023年3月25日
新宿ミロード本館2025年3月16日

小田急百貨店本館の建物は、正式には「新宿西口駅本屋ビル」「地下鉄ビルディング」と呼ばれ、1960年代に小田急が西口広場とともに整備したものです。

A区とB区

計画は2つの区域で構成されます。

区域内容
A区高さ約260mの超高層複合ビル(小田急・東京メトロ・東急不動産)
B区地上8階・地下2階/高さ約50m/延床約28,000㎡の駅施設併設の商業ビル(小田急が単独で開発)

完成イメージがこちらです。

新宿駅直近地区工事情報ポータル
新宿西口「小田急百貨店」(高さ260m・48階建て超高層ビルに建替)2029年度竣工【小田急・東京地下鉄・東急不動産】2022年10月2日本館営業終了
新宿西口に260メートル高層ビル、小田急と東京メトロ 消費者との交流で“ビジネスを生み出す”機能も:2029年完成予定 - ITmedia ...

何ができるのか:縦に重なる4つの層

建物は、下から駅・広場・商業・オフィスと、縦に機能が積み重なる構成です。

内容
高層部ハイグレードなオフィス
中間階ビジネス創発機能(来街者と企業等の交流を促す)
9〜14階スカイコリドー
中低層部商業(新たな顧客体験を提供)
3〜4階交流広場
2階小田急線の新設改札、歩行者デッキ
地上1階小田急線ホーム(快速急行・ロマンスカー)、交通広場
地下小田急線ホーム(各駅停車)、東京メトロ丸ノ内線、交通広場

建物の足元に小田急線のホームがあり、その上に駅と広場、さらに商業とオフィスが積み重なる——まさに「駅の上に街を積む」構成です。

ビジネス創発機能

オフィスと商業の間の中間フロアには、来街者と企業等の交流を促すビジネス創発機能が導入されます。

さらに低層部には、ビジネス創発の情報や、新宿をはじめとした小田急沿線・東京メトロ沿線等の情報を発信する機能を設ける計画です。

百貨店は「モノを売る場所」でしたが、新しい建物は「人と企業が出会う場所」を目指しています。

スカイコリドー(9〜14階)

9〜14階にはスカイコリドーが設けられます。建物の中層部を貫く空中の回廊で、新宿の街を見下ろしながら歩ける空間です。

新宿駅はどう変わるのか

ここが本題です。この計画は、新宿駅の使い方そのものを変えます。

変化① 2階に小田急線の新しい改札

2階に小田急線の新設改札が設置されます。

現在、小田急線の改札は地上と地下にあります。2階に改札ができることで、歩行者デッキから直接小田急線に乗れるようになります。

変化② 地下1階・地上1階の「交通広場」

地下1階と地上1階に交通広場が整備されます。

現在の新宿駅西口広場は、1966年に完成した立体的な駅前広場で、地上にバス・タクシー乗り場、地下にロータリーと歩行者空間という2層構造です。これを再編し、バス・タクシーの乗り場と歩行者空間をより分かりやすくします。

変化③ 東西・南北をつなぐ歩行者ネットワーク

東西・南北をつなぐ歩行者ネットワークの整備が、この計画の最大の目的です。

新宿駅は東口と西口が線路で分断され、行き来しにくい駅として知られてきました。新宿グランドターミナル構想では、この分断を解消するため、デッキ・地上・地下の複数の層で東西をつなぐことを目指しています。

旧小田急百貨店に接続していた歩行者デッキも2階レベルで再整備され、雨の日でも濡れずに周辺施設へ移動できるネットワークが形成されます。

変化④ 3〜4階の交流広場

3〜4階には交流広場が整備されます。駅の上に、人が滞留できる広場が生まれます。

現在の新宿駅西口は、通過する人が圧倒的に多く、立ち止まる場所がない駅前でした。駅の上に広場をつくることで、待ち合わせや休憩ができる場所が生まれます。

変化⑤ 駅前広場の再整備

駅前広場は歩道や車道の表層等の整備も行われます。1960年代に作られた西口広場が、半世紀以上ぶりに更新されます。

新宿グランドターミナルのイメージがこちらです。

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新宿グランドターミナル構想とは

この計画を理解するには、より大きな構想を知っておく必要があります。

新宿駅は1日の乗降客数が世界最多級のターミナル駅です。しかし、

  • 東西の分断(線路が街を二分)
  • 複雑な乗り換え(JR・小田急・京王・東京メトロ・都営が乗り入れ)
  • 駅前の歩行者空間の不足

という課題を抱えてきました。

転機は2016年です。新宿区が20年後の新宿駅周辺のまちの将来像の指針を公表し、翌2017年には東京都も新宿駅を「新たな価値を創造する拠点として再編することが重要」と位置づけました。

その結果、この計画は小田急単独のプロジェクトから、国・都・区の行政と鉄道事業者が一体で進める構想へと発展しました。これが「新宿グランドターミナル構想」です。

新宿駅西口地区開発計画は、その中核的な民間プロジェクトとして位置づけられています。

西口の周辺開発との関係

新宿西口では、この計画以外にも再開発が進んでいます。

事業内容
新宿駅西口地区開発計画小田急百貨店本店跡地/約260m/2029年度
新宿駅西南口地区京王・JR東日本による開発(京王百貨店の建て替え等)
西新宿三丁目西地区超高層タワーマンション中心の再開発
西新宿五丁目中央南地区住宅中心の再開発

小田急(西口北側)と京王(西口南側)の2つの百貨店がそれぞれ建て替わるという、新宿西口の百貨店の時代の終わりを象徴する動きが同時に進んでいます。

スケジュール

時期できごと
1966〜1967年新宿駅西口広場の完成、小田急百貨店新宿店本館 開業
2016〜2017年新宿区・東京都が新宿駅の将来像を公表
2022年10月2日小田急百貨店新宿店本館 営業終了
2022年10月解体工事開始
2023年3月25日モザイク通り 営業終了
2024年新築工事 着工、東急不動産が事業に参画
2024年6月国交大臣が優良な民間都市再生事業計画に認定
2025年3月16日新宿ミロード本館 営業終了
2025年9月末以降西口駅前広場の車両・歩行者動線を順次変更
2029年度竣工予定

2026年9月現在、新築工事と地下部分の解体工事が並行して進行中です。駅と広場を営業しながら工事を進めるため、西口の動線は工事の進捗に合わせて段階的に切り替わっています。

まとめ:新宿駅西口はこう変わる

  1. 小田急百貨店本店跡地に、地上48階・約260m(都庁超え)、延床約27.9万㎡の超高層ビル
  2. 事業主体は小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産、2029年度竣工予定
  3. 高層部にオフィス、中低層部に商業、中間階にビジネス創発機能
  4. 9〜14階にスカイコリドー3〜4階に交流広場
  5. 2階に小田急線の新設改札
  6. 地下1階・地上1階に交通広場
  7. 東西・南北をつなぐ歩行者ネットワーク、2階デッキの再整備
  8. 新宿グランドターミナル構想の中核プロジェクト

小田急百貨店本館は、西口広場とともに「駅前の百貨店」という昭和の都市モデルを体現した建物でした。

新しい建物は、駅・広場・改札・商業・オフィスを1つの縦の塊にまとめるという、令和の駅前モデルです。百貨店があった場所に、改札と広場と通路ができる——この変化こそが、新宿駅西口地区開発計画の本質です。

2029年度、新宿西口は「通過する駅前」から「滞在できる駅前」に変わります。

よくある質問

Q. 新宿駅西口地区開発計画はいつ完成する?
2029年度の竣工予定です(建築計画上は2030年3月下旬)。2026年9月時点では新築工事と地下部分の解体工事が並行して進められています。

Q. 何階建てで、高さは?
地上48階・地下5階、最高高さ約260m(建築計画上258.18m)です。東京都庁第一本庁舎(約243m)を上回る高さになります。

Q. 何が入る?
高層部にハイグレードなオフィス、中低層部に商業施設、その中間階に来街者と企業の交流を促すビジネス創発機能が入ります。9〜14階にはスカイコリドー、3〜4階には交流広場が設けられます。

Q. 新宿駅はどう変わる?
2階に小田急線の新設改札が設置され、地下1階・地上1階には交通広場が整備されます。東西・南北をつなぐ歩行者ネットワークと、2階レベルの歩行者デッキも再整備されます。

Q. 新宿グランドターミナルとは?
東京都・新宿区と鉄道事業者が一体となって進める新宿駅周辺の再編構想です。駅の東西の分断解消、乗り換えの改善、歩行者空間の拡充などを目指しています。

出典

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