HIBIYA CROSSPARKとは?日比谷公園前・110万㎡の再開発と工期のずれを解説

都市・再開発

日比谷公園の東側、内幸町一丁目で進む延床面積約110万㎡の巨大再開発。2026年4月、街区名称が「HIBIYA CROSSPARK(日比谷クロスパーク)」に決まりました。

230m級の超高層が3棟、加えて帝国ホテル東京の新本館。都心最大級のスケールです。

ただしこのプロジェクト、当初の計画通りには進んでいません。特に帝国ホテルの建て替えは、2026年に入って時期が「未定」になりました。この記事では概要と、その工期のずれを整理します。

事業の基本情報

地図:OpenStreetMap/位置・範囲は概略です。工期は2026年9月時点の公表情報に基づきます。

項目内容
街区名称HIBIYA CROSSPARK(日比谷クロスパーク)
所在地東京都千代田区内幸町一丁目
延床面積約110万㎡(都心最大級)
構成北地区・中地区・南地区の3地区
主な用途オフィス、商業、ホテル、賃貸住宅、サービスアパートメント
コンセプト「風が生まれる場所になろう。」
構想名TOKYO CROSS PARK構想(2022年3月発表)

名称の由来はこうです。「CROSS」には多様な価値観が響き合う結節点であること、「PARK」には風を感じる空間で自然体で心地良い時間を楽しめること、という意味が込められています。

立地の説明が的確です。大手町・丸の内・有楽町・銀座・霞が関・新橋といった都心主要拠点の結節点に位置し、皇居と日比谷公園に隣接する環境。この地は1800年代後半に鹿鳴館と帝国ホテルが誕生して以来、国際迎賓拠点を担ってきた場所です。

全体の完成イメージがこちらです。

【公式】HIBIYA CROSSPARK
仮称)内幸町一丁目街区開発プロジェクト」の街区名称を「HIBIYA CROSSPARK」に決定 | お知らせ・報道発表 | 企業情報 | NTT東日本
HIBIYA CROSSPARK(日比谷クロスパーク)とは?日比谷公園をつなぐ日比谷・内幸町再開発の全貌とオフィス移転の注目ポイント ...

3地区に何が建つのか

街区は3つの地区に分かれ、それぞれに超高層が計画されています。

地区建物規模
南地区タワー(サウスタワー)地上46階/高さ227.78m(最高232.52m)
中地区NTT日比谷タワー地上48階/高さ229.357m(最高233.527m)
北地区タワー(ノースタワー)地上46階/高さ約230m
北地区帝国ホテル東京 新本館地上29階/高さ約145m

230m級が3棟横並びという構成です。日比谷公園越しに見たときのスカイラインが根本的に変わります。

この場所に建っていたのは、以下の建物群でした。

  • 北地区:帝国ホテル本館(1970年)、帝国ホテルタワー(1983年)
  • 中地区:日比谷U-1ビル(1984年)、NTT日比谷ビル(1961年)ほか
  • 南地区:みずほ銀行内幸町本部ビル(1981年)、東京電力ホールディングス本社ビル(1972年)

東京電力本社とみずほ銀行の拠点がまとめて建て替わるという、事業者の顔ぶれからして異例の再開発です。

街区の特徴:高さ8mの人工地盤と道路上空公園

このプロジェクトで建築的に最も面白いのが、地区同士のつなぎ方です。

3つの地区は高さ8mの人工地盤・大規模広場で接続され、さらに道路上空公園によって日比谷公園にも接続されます。

つまり、

  • 街区の内部を地上8mのレベルで歩いて回れる
  • そのまま道路の上を渡って日比谷公園へ出られる

という構成です。約16haの日比谷公園と街区が一体化する——これが「CROSSPARK」という名前の実体です。

内幸町側から日比谷公園へは、通常なら車道を横断する必要があります。それを公園そのものを道路の上に伸ばすことで解決しようとしています。

街区の用途概念図と人工地盤の構成がこちらです。

日比谷公園と街をひと続きに!ロンドン流グリーン戦略【前編】 | Do well by doing good.jp
#1200 日比谷公園と周辺のまちづくり「TOKYO CROSS PARK構想」発表 地上31mに人工地盤 - どらったら!!

本題:工期はどうずれたのか

当初計画と現在の予定を並べると、ずれがはっきりします。

当初計画(2022年3月・TOKYO CROSS PARK構想)

建物竣工予定
南地区タワー2028年度
中地区 セントラルタワー2029年度
北地区 ノースタワー2030年度
帝国ホテル 新本館2031〜2036年度

3棟が2028・2029・2030年度に立て続けに竣工し、新本館が2036年度に続く。当時は「10年もかからずにこれだけの規模を」と驚かれたスピード感でした。

現在の予定(2026年時点)

建物現在の予定当初からの変化
南地区タワー2028年度(2025年4月着工済み)変更なし
中地区 NTT日比谷タワー2031年度(2025年12月着工済み)約2年後ろ倒し
北地区 ノースタワー未確定大幅な後ろ倒し
帝国ホテル 新本館時期未定計画そのものが宙に

何が起きたのか

工期のずれは、段階的に表面化しました。

① 中地区が約2年ずれた
当初2029年度竣工だったセントラルタワーは、NTT日比谷タワーという名称で2025年12月8日に着工。竣工予定は2031年度となっています。

② 帝国ホテルがタワー館の解体着工を延期(2026年3月27日)
帝国ホテルは、タワー館の解体工事着工時期を見直し、2030年度末頃の解体着工を目指すと発表しました。

当初は2024年度に着工して2030年度にノースタワー完成という計画でしたが、解体の着工が2030年度末になれば、タワーの完成は2030年代半ば以降にずれ込みます。

なおこの見直しにより、解体着工までの間、タワー館でのホテル事業と不動産賃貸事業は営業を継続することになりました。一度2024年6月に営業終了したタワー館が、結果的に使われ続けている状況です。

変更理由として、建築費・労務費・エネルギー価格等の物価動向と、近時の社会環境による影響を踏まえた事業計画の検証結果が挙げられています。

③ 新本館の建て替え時期が「未定」に(2026年5月14日)
そして決定打がこれです。帝国ホテルは2031〜2036年度としていた新本館の建て替え時期を「未定」としました。中長期経営計画の最終年度も未定に変更されています。

理由は、一帯の再開発計画の遅れに加え、建設費とエネルギー価格の高騰です。

整理すると

地区状況
南地区予定通り。2025年4月着工、2028年度竣工予定
中地区約2年遅れだが着工済み(2025年12月)。2031年度竣工予定
北地区大幅遅延。解体着工が2030年度末頃、新本館は時期未定

南から北へ向かうほど遅れが大きくなるという構図です。

この分解は重要です。「HIBIYA CROSSPARK全体が頓挫した」わけではありません。南地区は着実に進み、中地区も着工済み。問題は北地区、とりわけ帝国ホテル本館の建て替えに集中しています。

工事が進む南地区サウスタワーの様子です。

内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業A棟(サウスタワー)
仮称)内幸町一丁目街区開発プロジェクト」始動 南地区「サウスタワー」が施工認可 - 週刊不動産経営
内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業A棟(サウスタワー)

南地区のサウスタワーは延床面積**約29万㎡**の大規模複合ビルで、2025年4月に着工しています。

なぜ遅れたのか——構造的な理由

工期のずれには、このプロジェクト特有の事情があります。

① 段階的な建て替えという宿命
帝国ホテルは建て替え期間中も営業を継続する計画です。つまり「本館を使いながらタワー館を建て替え、新タワーができたら本館を建て替える」という順送りの工程。一つの遅れが次にそのまま波及します。

② 建設費の高騰
2022年の構想発表から4年で、建設市場の状況は大きく変わりました。資材費・労務費の上昇は全国的な現象ですが、110万㎡という規模では影響額も桁違いになります。

③ 事業者が多い


この街区には10社規模の事業者が関わっています。地区ごとに主体が異なるため、一斉に足並みを揃えるのが構造的に難しい面があります。

裏を返せば、南地区が予定通り進んでいること自体が評価されるべきとも言えます。

まとめ

  1. 日比谷公園東側・内幸町一丁目の延床約110万㎡、都心最大級の複合開発
  2. 街区名称はHIBIYA CROSSPARK、コンセプトは「風が生まれる場所になろう。」
  3. 230m級タワー3棟+帝国ホテル新本館(145m)という構成
  4. 高さ8mの人工地盤道路上空公園で日比谷公園と一体化
  5. 南地区は予定通り(2025年4月着工・2028年度竣工予定)
  6. 中地区は約2年遅れ(NTT日比谷タワー・2031年度竣工予定)
  7. 北地区は大幅遅延、帝国ホテル新本館は時期未定

大規模再開発の工期は、構想発表時の数字がそのまま実現することはむしろ稀です。特に建て替え期間中も営業を続ける施設を含む場合、工程は連鎖します。

この案件は、建設費高騰が都心再開発に与える影響が可視化された事例として記録しておく価値があります。今後の進捗は公式発表を随時確認してください。

よくある質問

Q. HIBIYA CROSSPARKはいつ完成する?
南地区タワーが2028年度、中地区のNTT日比谷タワーが2031年度に竣工予定です。北地区のタワーと帝国ホテル新本館は時期が見直されており、全体完成時期は確定していません。

Q. 帝国ホテル東京はいつ建て替わる?
帝国ホテルは2026年5月、2031〜2036年度としていた新本館の建て替え時期を「未定」と発表しました。タワー館の解体着工も2030年度末頃を目指す形に見直されています。

Q. 帝国ホテルは営業している?
はい。建て替え期間中も休業しない方針で、タワー館も解体着工までホテル事業と不動産賃貸事業の営業を継続しています。

Q. なぜ工期が遅れている?
建築費・労務費・エネルギー価格の高騰と、一帯の再開発計画の進捗が理由として挙げられています。

Q. 日比谷公園とどうつながる?
3地区が高さ8mの人工地盤・大規模広場で接続され、さらに道路上空公園によって日比谷公園と接続される計画です。

出典

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