麻布台ヒルズは成功か失敗か

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麻布台ヒルズが「成功か失敗か」は、“何を成功指標にするか”で結論が割れます。森ビルの思想(=都市をつくって終わりではなく、運営しながら“育てる”)まで含めると、短期の賑わいだけで白黒を付けにくい案件です。以下、できるだけ指標で整理します。


まず森ビルの思想(評価軸)を押さえる

森ビルは一貫して「都市を創り、都市を育む」を掲げ、複合機能を徒歩圏にまとめた「都市の中の都市(コンパクトシティ)」をつくり、運営(タウンマネジメント)で価値を上げ続けるモデルです。
麻布台ヒルズは、その“ヒルズの未来形”として位置づけられ、コンセプトも 「Green & Wellness」 を前面に出しています。

つまり森ビル流の成功は、

  • ①オフィス・住宅・商業・文化の複合が回り続けるか
  • ②街として回遊・滞在が生まれるか
  • ③長期の収益とブランド(磁力)が上がるか
    で判断されがちです。

「成功」と言える材料(森ビル視点だと強い)

1) 会社業績にはすでに“効いている”

森ビル自身が、2024年3月期は「麻布台ヒルズ」「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の新規稼働や麻布台ヒルズ住宅分譲が寄与して増収増益・過去最高更新、次期も通期稼働でさらに伸ばす見通しだと説明しています。
→ 少なくとも「事業としての成功確率」は高い滑り出し。

2) “都市の中の都市”としての規模・機能は本物

計画概要として、延床約86万㎡、オフィス総貸室約21.45万㎡、住宅約1,400戸、就業者約2万人、居住者約3,500人、年間来街者数約3,000万人など、街として成立するだけの母数が明示されています。
(※この「年間3,000万人」は“想定/計画の規模感”の数字として読むのが安全です。)

3) オフィス市況が追い風に転じた(供給過多→改善)

森ビルの市場調査では、東京23区の大規模オフィスは2024年に吸収量113万㎡、空室率3.7%へ大幅低下とされ、需要は底堅いと説明されています。
また、実際に麻布台ヒルズ森JPタワーへ企業移転の事例も出ています(例:マツダが移転・新R&D等の記載)。
→ 開業直後に言われがちな「オフィス埋まるの?」は、環境面では改善方向。

4) “育てる”運営の仕掛けを入れている

フードマーケット(麻布台ヒルズマーケット)を開業し、店舗横断の取り組み(マーケットラボ等)で継続的に磨く方針が示されています。
→ これは森ビルの「育む」思想そのもの。


「失敗/懸念」と言える材料(短期・社会視点で目立つ)

1) 開業前後は「テナント集め苦戦」報道があった

東洋経済は開業直前の時点で、オフィスのテナント集めに苦戦している旨を報じています(本文は有料)。
また別媒体でも、オフィスの内定率・埋まり具合を巡る話題が出ていました。
→ ただしこれは“初期局面の論点”で、上の通り市況は持ち直してきています。

2) 「街の手触り」への賛否:高級化・自己完結性(ジェントリフィケーション批判)

森ビル型再開発は、地域を高級化し既存の生活者・小規模事業者が居づらくなる、という文脈で語られやすいです。麻布台ヒルズもその典型として言及されることがあります。
海外/個人媒体ですが、「周辺とつながらず、囲い込む」 方向への批判(建築家のコメント引用)も紹介されています。
文春も「賛否両論」として、ストーリー性と評価の割れを扱っています。

ここは結局、

  • 都市の磁力を上げる(森ビルの目的)
  • 都市の多様性を守る(社会的要請)
    が衝突しやすいポイントです。

3) 体験価値の評価が割れる(混雑/期待値/導線)

口コミ系では、混雑や「思ったより…」など体験面の評価の割れが見られます。
→ ただ、これは“施設の性格”が六本木ヒルズ的エンタメというより、生活・ウェルネス・高品質消費に寄っていることも影響します。

4) 建設費高騰リスクが表面化(周辺企業の工事損失など)

麻布台関連工事で施工会社が大きな工事損失を計上した報道があり、超高層・高難度案件のコストリスクは現実問題として存在します。
→ これは「街の失敗」ではないですが、再開発モデル全体の重い論点です。


結論:いまの時点では「事業としては成功寄り、都市としては評価が割れる」

  • 森ビルの思想(=長期で育てる複合都市)に照らすと、成功寄り
    • 業績に寄与(過去最高)
    • 市況が改善し、オフィス需要の追い風もある
    • 運営で育てる装置(マーケット等)を入れている
  • 一方、“街としての公共性/開かれ方”では課題が残りやすく、ここが「失敗」と言う人の根拠
    • 高級化・自己完結性への批判(ジェントリフィケーション文脈)
    • 初期の空室・ガラ空き論争、体験価値の賛否

今後「成功/失敗」をはっきりさせる観察ポイント(超重要)

  1. オフィス稼働率と賃料が“安定して高い水準”で定着するか(3〜5年)
  2. 商業が“イベント依存”ではなく、日常利用(周辺住民・就業者)で回るか
  3. 周辺エリア(麻布十番・六本木・虎ノ門など)への回遊が増え、分断ではなく接続が起きるか
  4. ウェルネス/緑/脱炭素などの看板が、実証→常態運用へ移行できるか

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