0. ここで言う「ドーム基本」とは何か
ニュース上の表現は揺れますが、実務的にはこういう意味です。
- 県が比較検討してきた案の中で、多目的ドーム型(タイプX)が「地元要望の強い選択肢」として明示され、
- さらに民間提案の中で「1.3万人規模の小規模ドーム型」も出てきており、基本計画へ反映していく方向が語られている、という段階です。
つまり「確定」というより、“屋外前提のままではなく、屋根付き(ドーム)を中心に計画を組み立て直す”という政策転換が起きている。
1. 争点は3つしかない(なのに揉める)
争点A:公共施設か、興行施設か
県の資料でも、ドーム型は「野球以外の幅広いイベントも開催可能」と明記され、逆に屋外型は天候影響が留意点として書かれています。
ここで施設の性格が変わります。
- 屋外球場:スポーツ拠点(公共財に近い)
- ドーム:興行・MICE寄り(収益施設に近い)
争点B:誰が負担するか(PFI/PPPの現実)
県公式ページ上でも、官民連携(PFI等)を前提に検討する趣旨が整理されています。
ドームは初期投資も維持費も大きいので、税だけで回しにくい=スキームが論点化します。
争点C:立地と交通(都市計画)
県は遠州灘海浜公園(篠原地区)での整備を進めています。
大観衆施設は、都市計画上は「交通容量」「駐車」「公共交通接続」「イベント時の安全動線」が成否を決めます。県資料でもドーム案の留意点として、周辺まちづくりと交通改善、負担分担が並列で書かれているのがポイントです。
2. 建築の視点:ドーム化=“設備建築”化
ドームは「屋根が付く」だけではありません。要求性能が一段変わります。
- 構造:大スパン屋根(風・地震の水平力、屋根重量、架構の冗長性)
- 環境:温熱(空調)・結露・換気・臭気・騒音(コンサート想定)
- 設備:照明・音響・大型映像・イベント電源・搬入ヤード計画
- 運用:本番日だけでなく、設営撤去を含む稼働計画
県の概算でも、同じ2.2万人規模で比べて屋外(タイプB照明あり:110億)→ドーム(タイプX:370億)と跳ねます。
ここに「ドームは高い」の実体があります。
3. 都市計画の視点:公園計画×防災×イベント交通
遠州灘海浜公園は「公園」なので、都市計画的には
- 平常時:レクリエーション/スポーツ需要の受け皿
- 非日常:イベント集客の交通処理
- 非常時:避難・防災拠点としての位置付け
が同居します。
県資料にも、公園全体の概算事業費(プラン3)や駐車場(常設1500台)等が含まれており、球場単体で語ると設計を誤ります。
4. 不動産(宅建)の視点:価値は“箱”ではなくスキームで決まる
宅建的に見るなら論点は次です。
- 事業主体(県・市・第三セクター・SPC)
- 収益の帰属(使用料、ネーミングライツ、広告、飲食、駐車場)
- リスク分担(需要変動、修繕、災害、金利、物価上昇)
- 周辺開発(民間の投資が成立する用途・容積・交通条件)
県の資料がドーム案の留意点として「地元や民間からの負担」「再エネ活用等による利用料金低減」を挙げているのは、まさに不動産スキームの話です。
5. 次の記事
ここまでで「論点の地図」を作りました。
次は、県公表の概算データを使って
- イニシャル(CAPEX)
- ランニング(OPEX)
- 想定収益(利用料・ネーミングライツ等)
- 外部効果(県内直接消費・経済波及)
を、計算式つきで比較します。
参考文献・一次ソース
- 静岡県公式:遠州灘海浜公園(篠原地区)関連資料(計画・評価・概算)
- SBS NEWS:小規模ドーム案・コスト増に関する報道
(画像キャプション例)
- 画像:ドーム型球場イメージ(報道映像・記事内図)
- 画像:屋外球場(イメージ)



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