渋谷の細かい開発は一体いくつあるの?小さな再開発を解説

都市・再開発

地図:OpenStreetMap/位置・範囲は概略です。各案件の区域・動線は公表資料をもとにした模式表示です。情報は2026年9月時点。

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① 道玄坂二丁目南地区(西)——最初に完成する中規模案件

4案件のうち、最初に完成するのがこれです。

項目内容
所在地渋谷区道玄坂二丁目(渋谷マークシティの北側)
参加組合員三菱地所
敷地面積約6,725㎡
延床面積約86,748㎡
オフィス棟地上30階・地下3階/高さ約155m(各フロア1,500㎡超)
ホテル棟地上11階・地下2階/高さ約60m
設計・施工三菱地所設計・山下設計JV/戸田建設
総事業費約767億円
竣工2027年2月(ホテル開業 2027年3月頃)

見どころ:TRUNK(HOTEL)と井の頭線直結

ホテル棟には、テイクアンドギヴ・ニーズが運営するラグジュアリーブティックホテル「TRUNK(HOTEL) DOGENZAKA(仮称)」が入ります。客室は120〜130室**。付帯施設としてエリア最大級のルーフトッププール、ルーフトップレストラン&バー、シアタールーム、スパが計画されています。

オフィス棟は京王井の頭線「渋谷」駅に直結。渋谷マークシティと接続し、駅から雨に濡れずにアクセスできます。

回遊性:道玄坂一丁目と二丁目をつなぐ

この事業の都市的な役割は、道玄坂一丁目と二丁目を結ぶ南北ネットワークの形成です。

  • 結節点に約850㎡の広場
  • 約50mにわたる樹木に囲まれた緑道(既存の道玄坂のみどりと連続)
  • 立体的な歩行者動線

渋谷駅周辺から道玄坂に人々を誘引し、渋谷エリア全体の回遊性を高める——これが事業の目的

Shibuya Upper West Project(東急百貨店本店跡地)も道玄坂の上にあります。道玄坂二丁目南(2027年)→ Upper West(2029年度*と、道玄坂エリアが段階的に更新されていく流れです。

② 宮益坂地区(東)——渋谷に足りなかった「大規模ホール」

東口で最も規模が大きい中規模案件です。

項目内容
所在地渋谷区渋谷一丁目・二丁目(宮益坂地区)
施行者宮益坂地区市街地再開発組合
事業協力者東急・ヒューリック
区域面積約1.4ha
総延床面積約200,800㎡
組合設立2025年4月30日
着工2027年度(予定)
竣工2031年度(予定)

3つの街区で構成されます。

街区規模用途
A街区地上33階・地下3階/高さ約180m/延床約192,057㎡宿泊滞在施設、事務所、産業育成支援施設ホール、店舗、駐車場
B街区地上7階・地下2階/高さ約40m店舗
C街区地上2階・地下1階/高さ約10m神社

見どころ:渋谷ヒカリエとほぼ同じ高さ

A街区の高さ約180mは、隣の渋谷ヒカリエ(地上34階・182.5m)とほぼ同じです。宮益坂を挟んで同じ高さのタワーが並ぶことになります。

用途の核は「渋谷エリアに不足する大規模のホール」「不足する国際水準の宿泊滞在施設」。東京都は、これらと官民連携の産業育成支援施設の整備によって、国際ビジネス交流都市の発展に寄与すると説明しています。

C街区に神社が入るのも特徴的です。前に扱った西麻布三丁目北東地区(寺社を独立街区で再建)と同じく、地域の宗教施設を再開発の中で残す手法です。

回遊性:大山街道を歩行者中心に

宮益坂は、旧大山街道にあたる歴史ある坂道です。この事業では、

  • 階段・エスカレーター・エレベーターなどの縦軸の移動空間(アーバン・コア)
  • A街区とB街区を大山街道の上で結ぶ上空通路(4階レベル)
  • アーバン・コアと一体となった地下広場
  • 大山街道に沿った多様な広場
  • 南側でヒカリエデッキと接続

を整備し、立体的な歩行者ネットワークを形成します。傾斜地のため、街区中央を南北に貫く立体道路も設けられる計画です。

③ 渋谷二丁目22地区(東)——渋谷に映画館が戻ってくる

宮益坂地区の南隣、渋谷ヒカリエの南側にある案件です。

項目内容
所在地渋谷区渋谷二丁目(明治通りと国道246号の交差点に接する角地)
事業協力者東急・東急レクリエーション
延床面積約50,900㎡
規模地上24階・地下2階/高さ最大160m(塔屋含む)
都市計画決定2025年8月8日
解体着手2028年度(予定)
竣工2031年度(予定)

見どころ:シネマコンプレックス

フロア構成はこうです。

用途
高層部オフィス
中層部シネマコンプレックス(複合映画館)
低層部商業施設、駐車場

事業協力者に東急レクリエーション(映画館「109シネマズ」を運営)が入っていることから、映画館を核とした開発であることが分かります。

東京都は事業の目標に「文化エンタメに資する都市機能の導入」を掲げています。渋谷は映画・音楽・ファッションの発信地としての歴史を持つ街です。その歴史を活かし、映画館などの施設を新設するとともに、賑わいのあるストリートを創出するという方針です。

回遊性:国道東口デッキと地下歩道への接続

この地区の特徴は、駅から街へ広がる放射状および環状の歩行者ネットワークです。

  • 国道東口デッキとの接続強化
  • 地下歩道との接続強化
  • 多層的な商業空間広場の整備

国道246号(青山通り)と明治通りの交差点という渋谷で最も交通量の多い交差点の一角で、上(デッキ)・地上・下(地下歩道)の3層で人の流れを受け止める設計です。

東口エリアの再開発イメージがこちらです。

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④ 公園通り西地区(北)——渋谷の北側に住まいをつくる

4案件の中で最も北側、そして最も竣工が遅い案件です。

項目内容
所在地渋谷区宇田川町・神南一丁目
参加組合員東急不動産
事業協力者東急不動産・清水建設
延床面積約70,000㎡
規模地上33階・地下4階/高さ約140m
用途住宅、事務所、店舗、サービス施設、多目的スペース、駐車場
組合設立2025年9月22日
着工2027年度(予定)
竣工2032年度(予定)

見どころ:住宅が主用途

4案件のうち、住宅を主要用途の筆頭に置いているのはこの事業だけです。

公園通りは、渋谷駅から代々木公園・NHK方面へ北上する通りで、渋谷PARCOなどの商業施設が並ぶエリアです。そこに高さ140mの住宅中心のタワーが建つことで、渋谷の北側に「住む人」が増えることになります。

多目的スペースが用途に含まれている点も注目です。MIYASHITA PARK渋谷PARCOと同じく、イベントや文化発信の場を公園通り沿いに確保する意図が読み取れます。

4案件から見える渋谷の変化

竣工時期は「2027年〜2032年度」に集中

年度竣工する案件
2027年2月道玄坂二丁目南地区
2029年度(Shibuya Upper West Project、渋谷二丁目西地区)
2031年度宮益坂地区渋谷二丁目22地区(渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期)
2032年度公園通り西地区
2034年度(渋谷駅街区 全体完成)

2031年度に東口の2案件が同時に竣工し、渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期とも重なります。2031年度が渋谷の「完成年」と言ってよい状況です。

共通点:すべてが「歩行者ネットワーク」を持つ

4案件は用途こそ違いますが、すべてが歩行者動線の整備を事業目的の中心に置いています。

案件歩行者ネットワーク
道玄坂二丁目南道玄坂一丁目⇄二丁目の南北ネットワーク、緑道
宮益坂アーバン・コア、大山街道の上空通路、ヒカリエデッキ接続
渋谷二丁目22国道東口デッキ・地下歩道との接続、放射状・環状の動線
公園通り西公園通り沿いのにぎわいと回遊

渋谷区の地域整備方針は、「駅から周辺の個性的な街へ連続する、にぎわいと回遊性のある、歩いて楽しい都市空間」を目指すとしています。巨大案件が駅を作り、中規模案件が駅から街への道を作る——この役割分担が、渋谷の再開発の全体構造です。

機能の補完:渋谷に足りないものを埋める

渋谷に不足していたものそれを埋める案件
ラグジュアリーホテル道玄坂二丁目南(TRUNK(HOTEL))、宮益坂(宿泊滞在施設)
大規模ホール宮益坂
映画館渋谷二丁目22
都心居住公園通り西

4案件がそれぞれ別の「不足」を担当しているのが、偶然ではなく計画的な配置だと分かります。

まとめ:渋谷駅を囲む4つの中規模案件

  1. 道玄坂二丁目南地区(西):155m・約8.7万㎡。TRUNK(HOTEL)とルーフトッププール、井の頭線直結、約850㎡の広場と緑道。2027年2月竣工
  2. 宮益坂地区(東):180m・約20万㎡。大規模ホールと宿泊滞在施設、神社を独立街区で残す、アーバン・コア。2031年度竣工
  3. 渋谷二丁目22地区(東):最大160m・約5.1万㎡。シネマコンプレックス、国道東口デッキと地下歩道に接続。2031年度竣工
  4. 公園通り西地区(北):140m・約7万㎡。住宅中心、多目的スペース。2032年度竣工

巨大案件が「渋谷駅」を作り替えるなら、中規模案件は「渋谷の街」を作り替えます。

道玄坂、宮益坂、公園通り——渋谷駅から放射状に延びる坂と通り。そのそれぞれの入口に、ホテル・ホール・映画館・住まいという違う性格の建物が建つ。2032年度、渋谷は駅を中心に四方へ歩いて楽しい街になります。

よくある質問

Q. 渋谷駅周辺の中規模再開発はいくつある?
この記事では、道玄坂二丁目南地区、宮益坂地区、渋谷二丁目22地区、公園通り西地区の4案件を取り上げています。いずれも延床5万〜20万㎡、高さ140〜180m程度の規模です。

Q. どれが一番早く完成する?
道玄坂二丁目南地区が2027年2月に竣工予定で、4案件の中で最も早く完成します。ホテルは2027年3月頃の開業予定です。

Q. 渋谷に映画館はできる?
渋谷二丁目22地区の中層部にシネマコンプレックス(複合映画館)が計画されています。事業協力者は東急と東急レクリエーションで、2031年度の竣工予定です。

Q. 宮益坂地区には何ができる?
A街区に地上33階・高さ約180mの超高層ビル(宿泊滞在施設・事務所・産業育成支援施設・ホール・店舗)、B街区に店舗ビル、C街区に神社等が整備されます。2031年度の竣工予定です。

Q. 公園通り西地区はどんな建物?
地上33階・高さ約140mの再開発ビルで、住宅・事務所・店舗・サービス施設・多目的スペースなどで構成されます。2032年度の竣工予定です。

出典

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