岐阜市LRT計画の比較~富山、宇都宮の事例から考える~

岐阜LRT
https://static.chunichi.co.jp/image/article/size1/4/c/4/2/4c42511628f7356af76af51fffe10bd0_1.jpg
https://t.pimg.jp/057/481/901/1/57481901.jpg
https://machi.mosha2.jp/common/gifu_/02.jpg

6

  • 人口:令和7年7月1日時点で、岐阜市の総人口は約 397,355人(男189,720人/女207,635人)というデータがあります。 岐阜市+1
  • 中心部の位置:県庁所在地であるものの、鉄道・商業・行政施設の配置など、中心市街地と行政機能が必ずしも重なっていないとの指摘があります。 note(ノート) また、中心市街地として指定されている区域約155haの中に、岐阜市の事業所の約14.6%が集積しているというデータがあります。 岐阜市
  • 人口分布・主要施設:濃尾平野北端に位置し、長良川など河川が市内を横断します。市内は北部を除いて平坦地が広がっています。 東京大学ポータル 中心部商業エリア(例:柳ヶ瀬商店街)が衰退傾向にある一方、郊外住宅・大型商業施設が存在しています。
  • 周辺都市・関係性:名古屋圏の影響下にあり、名古屋へのアクセス・自動車優位の都市構造という文脈があると指摘されています。 note(ノート)

富山市(富山県)

https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101404/202003107851/_prw_PI2lg_7Kp6ib55.jpg
https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXMZO5705386020032020LB0001-PN1-4.jpg?s=df04fdf3d05f43e9846bf63f532732bc
https://www.10plus1.jp/monthly/img/1205/1205_kyoda_01.jpg

6

  • 富山市は、北陸地方において「公共交通を軸とした拠点集中型コンパクトシティ」を掲げており、既に実践フェーズに入っている都市です。 ひどうほうむサイト+1
  • 地理的には、日本海側・富山湾に面し、山・海・平野が隣接する地形。市の中心・公共交通軸・生活圏が比較的コンパクトにまとまっており、「南北接続」「環状線化」など路面電車・LRTネットワークの整備が進んでいます。 estfukyu.jp+1
  • 主要施設・人口分布:公共交通沿線居住推進地区(約3,500ha)が設定され、「沿線居住」「沿線商業」「沿線オフィス」誘導が明確。 estfukyu.jp
  • 周辺都市・関係性:北陸新幹線開業、富山駅の強化、県内・地域内交通軸としての役割を担っており、都市圏としての拡がりもあります。

宇都宮市(栃木県)

https://www.miyarail.co.jp/cms/wp-content/themes/miyarail/images/route-map-re.jpg
https://u-movenext.net/assets/images/about/place_map.png
https://www.kenbiya.com/news_img/54130-1.jpg?9657274149=

6

  • 路線:次世代型路面電車(芳賀・宇都宮LRT)がすでに開業しており、14.6 km、19駅、宇都宮駅東口〜芳賀町工業団地を結ぶ路線です。 ウィキペディア+1
  • 人口・市況:宇都宮市自身の人口数値は本稿直接では参照しませんが、LRT開業1年で乗客数累計600万人・沿線住宅地価上昇などの報告があります。 SUUMO
  • 地理・中心部:宇都宮駅を起点とし、都市中心部から東部工業団地・郊外部へ連ねる形。沿線の人流増加や商業施設の動きも確認されています。 Geot
  • 周辺都市・関係性:栃木県の県庁所在地として、首都圏との距離・自動車交通の利用傾向もある中で、公共交通ネットワークの転換という文脈にあります。

各都市のLRT(あるいは検討)環境を比較

(A)中心市街地と公共交通軸

  • 富山市では「公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトまちづくり」を都市マスタープランに明記し、LRT・路面電車ネットワーク整備がそれを実践する手段になっています。 ひどうほうむサイト+1
  • 宇都宮市では既にLRTを開業させ、沿線の人流・住宅・商業への影響も見え始めています。例えば、駅東口で最大250%の人出増、沿線モールで最大120%増という調査結果があります。 Geot
  • 岐阜市では、中心市街地指定区域には市全体の事業所の約14.6%が集まっているというデータがあるものの、郊外や名古屋圏の影響もあって「中心⇔郊外」構造が強く、公共交通を軸にしたまちの再編という観点では富山・宇都宮ほど明確な整備軸が示されていないという指摘があります。 岐阜市

(B)人口・地理的条件

  • 富山市:平野部が広く、海・平野・山を背景にした地形で、公共交通軸を整理しやすい。地理的な制約(外縁部の山や高低差)が比較的少ない。
  • 宇都宮市:栃木県北部から首都圏へのアクセスも意識される地域で、郊外工業団地・住宅地が広がる。公共交通転換の余地がある。
  • 岐阜市:名古屋圏との関係・自動車交通優位・河川・地形変化(長良川・金華山沿い)など、地理的・交通的な制約もあり、公共交通軸を明確に整備するには環境的にチャレンジがあるという指摘があります。 note(ノート)

(C)不動産・沿線開発ポテンシャル

  • 富山市:「沿線居住推進地区」設定、沿線に都市機能を集積させる施策が明確。 LRT整備が「沿線価値」を創出しており、利用者数も増加に転じています。 富山市公式ウェブサイト+1
  • 宇都宮市:開業後、沿線住宅地価上昇・転入増・商業施設活性化の報告あり。例えば、開業1年で累計600万人乗車という成果。 SUUMO
  • 岐阜市/岐阜県:LRT構想が出されてはいますが、沿線・駅前用途・誘致施設・沿線価値の創出メカニズムがまだ設計段階。郊外商業・自動車交通優位の構造をどう転換するかという「不動産・用途転換」の難しさがあります。

(D)周辺都市・交通網との関係性

  • 富山市:北陸新幹線・在来線・路面電車ネットワークが整備され、都市間・地域内交通とのシナジーが出てきています。
  • 宇都宮市:首都圏からの距離・自動車交通・郊外住宅団地などの条件を背景に、公共交通転換のインセンティブがあります。沿線モール・工業団地との連携が期待。
  • 岐阜市:名古屋圏の自動車交通圏・大都市の影響を受けるなかで、単独での交通転換・中心部回帰を描くにはハードルがあります。「どう自動車中心から公共交通中心に変えるか」という構造的なチャレンジがあります。

良いところ・課題点の整理

富山市

良いところ

  • 公共交通をまちづくりの軸に据えた明確な方向性。 ひどうほうむサイト+1
  • LRT/路面電車整備で利用者数増、沿線居住・沿線価値創出に実績。 富山市公式ウェブサイト+1
  • 地理的・地形的に比較的公共交通整備に有利な環境。
  • 不動産・沿線開発の枠組み(沿線居住推進地区)を整えている。

課題点

  • 北陸地方全体が人口減少・少子高齢化傾向にあるなかで、沿線居住・沿線商業だけで持続的成長を描くには限界がある。
  • 自動車保有率が高い地域背景があり、公共交通への転換には時間を要する(1999年時点で自動車利用72.2%というデータあり) 関西大学
  • 山・海・平野の地理が豊かながらも、外縁部・郊外部の住環境・交通アクセスには課題を残す。

宇都宮市

良いところ

  • LRTが既に実現し、沿線効果(人流増・地価向上・住居誘導)が出始めている。 SUUMO
  • 首都圏とのアクセス・地域内工業団地との関係・郊外住宅地の転換ポテンシャルがある。
  • 中心部+郊外整理が可能な構造。

課題点

  • 自動車交通・郊外住宅団地・車依存の構造が根強く、公共交通利用促進にはインセンティブ設計・ネットワーク強化が必要。
  • LRT延伸計画が進む中で、費用・スキーム・沿線用途をどう整えるかというステージに入っており、概念から実践への転換が問われている。 ウィキペディア
  • 中心部の商業・オフィス機能がどこまで沿線回帰できるか、まちづくり全体設計との整合がカギ。

岐阜市/岐阜県(LRT構想)

良いところ

  • 中心市街地活性化の旗印としてLRT構想を県が掲げており、「まちをつなぐ」「回遊性を高める」「公共交通+歩くまち」の方向性が出されている。 広報プラス ーわたしの広報ぎふー
  • 鉄道・高速道路・新幹線など交通インフラの交差点的な地域であり、ポテンシャルはある。
  • 商店街・中心市街地再編・駅前開発・沿線用途転換といった不動産・建築視点でのチャンスも多い。

課題点

  • 人口約39〜40万人レベル・周辺大都市(名古屋圏)との関係が深く、自動車依存・郊外化・中心部空洞化の構造がある。 note(ノート)
  • 中心市街地に集まる事業所・店舗数の割合が低く(市全体に対して14%程度)というデータがあり、沿線回帰・駅前再構築が容易ではない。 岐阜市
  • LRT構想はまだ調査段階で、ルート、事業主体、費用、沿線用途誘導策など具体化されていない。
  • 名鉄・在来線・バス・道路網との整合、沿線不動産・用途誘導との設計、財政・運営スキーム等、多くの課題が積み残されている。

まとめ:岐阜県LRT構想に向けた学びと提言

3都市を比較すると、富山市・宇都宮市が 「公共交通を軸にまちづくりを先行させている」 一方で、岐阜市/岐阜県は 「構想段階だが、まちづくりの変換点にある」 と整理できます。
特に、建築×不動産の視点から言えば、駅・停留所前の用途誘導・沿線居住・商業・オフィスの再配置が成功の鍵です。富山はそれを制度設計として先行させ、宇都宮はそれをLRT開業段階で実証フェーズに入っています。
岐阜県においても、以下のような設計・戦略を早期に示すことが重要と思われます:

  • 停留所/駅前を「用途複合」の起点とする設計(商業+住宅+オフィス+ホテル)
  • 停留所半径300 m程度の「歩行回遊圏」を明確にし、駅前歩行者空間・緑地・広場などを整備
  • 名古屋圏との自動車優位構造を転換するため、「公共交通+徒歩・自転車」の行動転換インセンティブを並行して整備
  • LRTルート策定と並行して、沿線地価・用途転換可能性・民間開発意欲を可視化し「出店・誘致先」を早期提示
  • 財政・運営スキーム(公設・公営・PFI・民間参画)・既存交通との整合(名鉄・バス)を明確にする

また、地理的な観点では、岐阜市が抱える河川(長良川など)・山(金華山)・平野・名古屋圏隣接という条件はチャレンジでもあり、逆に**“魅力ある地形・景観”として活かせる余地もあります。停留所・沿線デザイン・ランドスケープ(例:長良川沿い、金華山ビュー)を意匠設計に取り込むことで、富山や宇都宮以上に「まちの魅力+交通利便」というストーリーを描けるかもしれません。
ただし、人口動態(少子高齢化・地方中都市での停滞)を考えると、
“やれば儲かる”という単純な収支モデル**ではなく、まちづくり・暮らしの質・持続可能性をキー指標に据えた検証が不可欠です。例えば、富山でも「自動車利用比率が高い」という課題を抱えており、交通インフラ整備だけで転換できたわけではありません。 関西大学

最後に、岐阜県のLRT構想が実現するとすれば、**富山・宇都宮の先行事例を“比較対象”ではなく“ベンチマーク”**として捉え、地域固有の地理・交通・不動産条件を踏まえた転換設計を早期に詰めることが、成功の鍵と言えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました